• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」(森アーツセ…

「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」(森アーツセンターギャラリー)レポート。米国最大規模のコレクションが語る古代エジプト人のいとなみ【4/4ページ】

3rd Stage 死後の世界の門をたたけ!

 古代エジプトでは、人は死後、来世で復活し永遠の命が得られると信じられ、そのために身体を保持する必要からミイラの技術が発達した。最後のステージでは、2体の人間のミイラと、内外ともに装飾された木棺、美しい副葬品や葬儀のための道具、墓に添えられたレリーフなどに、彼らの独特の死生観と、切なる願いを読み取る。猫のミイラや墓に収める動物たちの像が多く作られているのも特徴的だ。また、会場では現存最古の葬送文書といわれる『ピラミッド・テキスト』を古代エジプト語の「発音」から再現した音声が流される。青く染まった空間に祈りの声が響き、ちょっとしたタイムトリップを体感できるかも。

「3rd Stage 死後の世界の門をたたけ!」展示風景より、豪華な装飾品は古代エジプト展の醍醐味のひとつ
「3rd Stage 死後の世界の門をたたけ!」展示風景より、中央のケースにはときに金よりも重宝された銀製の《ハエのペンダント》(前1539〜前1292頃)が
「3rd Stage 死後の世界の門をたたけ!」展示風景より、《ミイラの覆い布》(前332~前30)。女神に導かれる死者は典型的なギリシャ・エジプト風の装いで描かれる
「3rd Stage 死後の世界の門をたたけ!」展示風景より、ミイラ作成の際に臓器を納める容器《カノプス壺と蓋》(前664~前525またはそれ以降)。臓器により頭部の動物が異なる
「3rd Stage 死後の世界の門をたたけ!」 展示風景より、《ネコの棺とミイラ》(前664~前332)
「3rd Stage 死後の世界の門をたたけ!」 展示風景より、ミイラと棺
「3rd Stage 死後の世界の門をたたけ!」展示風景より、《神官ホル(ホルス)のカルトナージュとミイラ》(前760~前558頃)

 人々の生活への視点、3D映像で読み取るピラミッドの構造、そして耳で聞く葬送の想い。解説に付された河江の「ポイント」や各所に掲示される「トリビア」が伝える豆知識も楽しく、古代エジプトを身近に感じる契機となる。知っているつもりでも、じつは意識していなかったかもしれない古代エジプトの「存在」を改めて実感し、新しい好奇心と新鮮な眼を開かせてくれるだろう。

編集部

Exhibition Ranking