第3章「ほとけに仕える子ども」では、子供の姿をした眷属たちを紹介する。子供の姿をした眷属のなかでもとくに著名なのが、不動明王に仕える8人の眷属、八大童子だ。大阪・七宝瀧寺に伝わる《不動明王八大童子像》(14〜16世紀、室町時代)は、まさに不動明王と八大童子を描いたものだ。
また、八大童子のなかでも制咤迦(せいたか)童子と矜羯羅(こんがら)童子はとくに著名。《制咤迦童子坐像》《矜羯羅童子坐像》(14〜16世紀、室町時代)は、その愛嬌ある姿に目を奪われるだろう。
和歌山・金剛峯寺の《八大童子像》。国宝指定されている6躯の付属となっている2躯、阿耨達(あのくた)童子坐像と指徳(しとく)童子立像(13〜14世紀、鎌倉後期~南北朝頃)が並ぶ姿も相関だ。竜王に乗り涼し気な表情の阿耨達童子と、精悍な顔つきで煩悩を打ち砕くための三叉を持つ指徳童子の姿は、それぞれの性格や個性をも想造させる。