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マカオで日本の現代美術・文化・食の体験を。日本文化のスプリング・フェスティバルが開催中

マカオと日本の友好関係を祝し文化的な架け橋となることを目指す文化芸術イベント「CONTEMPO:マカオ・ジャパン・スプリング・フェスティバル」が、2月1日〜3月30日の期間でマカオ市内の統合型リゾートで開催されている。

文・撮影=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部)

サンズ・ギャラリー​(フォーシーズンズ・マカオ)で開催中のgallery UGによるグループ展(参加アーティスト:岡田菜美、川平遼佑、田島享央己、戸泉恵徳、野原邦彦、吉川博也)

 1月31日、約50人のギャラリーオーナーやアーティスト、アート関係者を乗せた2機の飛行機が、それぞれ成田国際空港と関西国際空港を出発した。その目的地はマカオだった。 

 2月1日から3月30日までの約2ヶ月間、京都府、京都市、マカオ政府観光局、マカオ貿易投資促進機関の後援のもと、マカオと日本の友好関係を祝し文化的な架け橋となることを目的として企画された文化芸術イベント「CONTEMPO:マカオ・ジャパン・スプリング・フェスティバル」(以下、CONTEMPO)が、ザ・ヴェネチアンやザ・ロンドナーなどマカオの有名な統合型リゾート内にある劇場やギャラリーを会場に開催。東京・天王洲と馬喰町に拠点を持つgallery UGのキュレーションによる日本の現代美術家6名のグループ展をはじめ、アイドルグループ「高嶺のなでしこ」によるパフォーマンス、400年の歴史を誇る京懐石「瓢亭」のオーナーシェフが監修するミシュラン3つ星レストラン体験、そして上記のギャラリーオーナーたちがマカオを訪れて視察する、3月22日から24日まで開催される新しいアートフェア「アートジャパン@マカオ2024​」などが予定されている。

田島享央己の作品群

 マカオといえば、きらびやかな建築物や活況を呈するカジノ産業を思い浮かべる人も多いだろう。マカオ政府の統計によると、2019年のマカオの産業構造全体に占めるカジノ産業の割合は50.9パーセントだった。しかし、新型コロナウイルスの流行やそれに伴う渡航制限の影響により、2022年には同産業のシェアは25.8パーセントまで低下しているという。

 カジノ産業への過度の依存は、マカオ経済の安定性に課題をもたらすだけでなく、環境、社会、文化に与える影響も懸念されている。そのため、持続可能な新しい経済発展の道を模索することが、マカオ政府にとって急務となっている。

 このような背景下、マカオ政府は産業転換に乗り出し、「1+4」という発展戦略を今年から打ち出した。「1+4」とは、健康、現代金融、科学・イノベーション、コンベンション・展示会ビジネス、文化・スポーツといった4つの産業とともに、観光・レジャー産業の統合を目指すというもの。文化・スポーツというカテゴリーにおいて、マカオ政府は日本の文化芸術に照準を合わせている。

野原邦彦の作品群

 日本は長年海外の旅行誌に「外国人観光客がもっとも訪問したい国」のひとつとして選ばれており、豊かな文化遺産や芸術資源を有している。マカオ政府観光局(MGTO)のヘレナ・デ・セナ・フェルナンデス局長はCONTEMPOの開会式で「2ヶ月間にわたって様々な展示会、パフォーマンス、文化体験、料理イベントを提供することで、日本文化に興味がある方や観光客たちはこのイベントを楽しみにしているでしょう」としつつ、次のように意気込む。

 「このイベントはマカオの『観光+コンベンション&展示会』の要素を充実させ、参加者は大規模なフェスティバル展示会の雰囲気を体験することができます。MGTOは、国際観光市場の開拓に積極的に取り組んでおり、『CONTEMPO』は、日本とマカオの観光資源の交流と相互理解を促進し、将来的には、宣伝とプロモーション、観光交流を強化、促進し、訪問者の多様性を広げることにも貢献すると考えています」。

吉川染匠株式会社による着物展示

 例えば会期中には、フォーシーズンズ・マカオにオープンしたサンズ・ギャラリー​で岡田菜美、川平遼佑、田島享央己、戸泉恵徳、野原邦彦らによるグループ展が開催。本展では、140年の歴史を持つ京都の着物ブランド・吉川染匠株式会社による着物も展示されており、日本の伝統的な美と新進気鋭のコンテンポラリーアートを同時に楽しむことができる。また、3月15日〜30日の期間では、京都の着物​や京料理、芸者文化​、ライフスタイルなどを紹介する「京都体験」も行われる。

 京都府副知事・鈴木貴典は、マカオと京都の共通点について「歴史を感じる美しい街並みや伝統的な文化と様々な現代的エンタテインメント、食などと相まって、世界中のたくさんを魅了している伝統と革新が共存する街」だとし、今回のイベントについて次のような期待を語っている。「日本の素晴らしい伝統文化や食文化の良さを多くの方々に理解していただき、またマカオと日本の交流を活発化していきたい」。

編集部

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