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「渋谷二丁目アートプロジェクト」のアートウォールが披露。8名のアーティストが仮囲いを彩る

渋谷駅東口エリアに新たに整備される地上23階建ての複合施設の工事現場の仮囲いに、8名のアーティストによる作品が掲出。参加するのは石井海音、横山隆平、野沢裕、森本美絵、佃弘樹、高倉大輔、小林健太、田中功起。

「渋谷二丁目アートプロジェクト」展示風景

 渋谷駅東口の渋谷ヒカリエに隣接する渋谷2丁目17地区で行われている再開発事業。新たな複合商業施設の建設にあたり、この工事現場に8名のアーティストによるアートウォールが出現した。

「渋谷二丁目アートプロジェクト」展示風景より、右は田中功起《Go to a flower market and make a bouquet of flowers as big as possible》(2009)

 工事現場は渋谷ヒカリエと道路を挟んで面しており、アートウォールはこの道路沿いに展開される。12月1日にはこの仮囲いに掲示された作品が披露されるとともに、5名のアーティストによるサイン入れが行われた。

「渋谷二丁目アートプロジェクト」のサイン入れ

 この工事現場にはかつてギャラリーの「NANZUKA」があり、今回はNANZUKAも参加する現代美術商協会(CADAN)の協力のもとアーティストを選出。企画テーマを「都市の移り変わり」とし、再開発組合が18名のアーティストのなかから選考し、石井海音、横山隆平、野沢裕、森本美絵、佃弘樹、髙倉大輔、小林健太、田中功起の8名のアーティストが参加することとなった。

「渋谷二丁目アートプロジェクト」参加作家、左から小林健太、佃弘樹、野沢裕、髙倉大輔、石井海音

 掲示されている作品を紹介したい。独自のキャラクターや線づかいを用いる石井海音と、「一人芝居」をモチーフとしたシリーズを制作する髙倉大輔は、ともに本プロジェクトに合わせて新作を制作。石井は駅を行き交う人々が都市に酸素を運ぶように動いていることを想像した《駅》(2021)を、髙倉は「一人芝居」をモチーフにコロナ禍の都市における価値観の変化や想像を思考した《monodramatic/Befluid》(2021)を発表した。

展示風景より、左から髙倉大輔《monodramatic/Befluid》(2021)、石井海音《駅》(2021)

 渋谷で暮らしながら自身の視点で写真を撮影してきた森本美絵も、今回新たたに撮り下ろした写真を編成した《scraoa》(2021)を発表。近未来的な世界観を持つ作品で知られ、自身の作品を「アウターワールド」と解説する佃弘樹も、今回のための新作《Rebuilding the grown roots of desire》(2021)を発表している。

展示風景より、森本美絵《scraoa》(2021)
展示風景より、佃弘樹《Rebuilding the grown roots of desire》(2021)

 小林健太は撮影した人間と社会システムの関係を考察しながら制作した、ネットオークションの画像によるデジタルコラージュ作品《Sneakers(Insectautomobilogy)》(2021)を掲出。また横山隆平の《WALL stanza》(2021)は、紫外線でインクが硬化するUVプリントの技術を活用し、数千枚のストリートスナップを幾重にも出力して制作した作品だ。

展示風景より、左から横山隆平《WALL stanza》(2021)、小林健太《Sneakers(Insectautomobilogy)》(2021)、佃弘樹《Rebuilding the grown roots of desire》(2021)

 野沢裕の《→□←》(2013)は、異なる都市の写真と風景を重ねて撮影した作品で、現在の渋谷の風景との重なりを感じて本作を選出。田中功起《Go to a flower market and make a bouquet of flowers as big as possible》(2009)は抱えきれないほどの花束を台湾・台北の花市場でつくったアクションの記録写真で、工事現場に華やかな彩りを添えた。

展示風景より、左から野沢裕《→□←》(2013)、田中功起《Go to a flower market and make a bouquet of flowers as big as possible》(2009)

 今回のアートロジェクトの意義について、事業を手がける東急の担当者は次のように語る。「多様化する社会において、豊かさを提供するためにアートは必要不可欠。工事期間中も、仮囲いで作家たちの多様な表現を見ていただければ」。渋谷を訪れた際には、現地で鑑賞してみてはいかがだろうか。

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