自身のマインドに宿すイメージをペインティングや刺繍、インスタレーションなどの媒体で表現し、様々な作品を発表してきたアーティスト・松岡亮。その新作個展「暇で育つ。」が渋谷のギャラリー・SAIで開幕した。
国内を代表するファッションブランド「ヨウジヤマモト」とのコラボレーションや、「Joyce Hong Kong」や「L'ECLAIREUR Paris」での展示、アメリカ人作家ポール・オースター全詩集の表紙画提供など、これまで国内外の多様なシーンで活躍してきた松岡。近年では、昨年2月にオープンしたルイ・ヴィトン メゾン大阪御堂筋店舗内を飾るアーティストに選ばれるなど、今後の活動にも大きく期待されている。
10代の頃より30年以上絵を描き続けるという松岡。その作品では、作家本人の生きる姿を浮き彫りにし、自身の生活や経験における様々な瞬間の感覚の一部を切りとったかのような純粋な力強さが反映されている。豊かな色彩や独特の構図からは、作品制作時における作家の身体性やリズムを感じとることができる。
松岡のこれまで最大規模となる本展では、およそ15メートルの壁面を覆う刺繍作品群から、大小のキャンバスやウッドパネルに描かれたペインティング作品までの新作が展示。スペースを包む多彩な色層により鑑賞するごとに印象が変化する抽象作品は、鑑賞者を繊細な色彩世界へと誘う。