久留米市美術館で「美の新地平—石橋財団アーティゾン美術館のいま」が開催中。青木繁やセザンヌを含む石橋財団コレクションの「いま」を80点で紹介【3/5ページ】

 続く第3室では、後期印象派のポール・ゴーガンやキュビスムを創始したパブロ・ピカソ、フォーヴィスムを牽引したアンリ・マティスら、抽象絵画の出現に影響を与えた画家たちの作品を展示。「近代絵画の父」とも呼ばれるポール・セザンヌは、目の前の光景を独自の視点で再構成し、20世紀絵画に絶大な影響を与えた。山と建造物が抽象的な形状に還元された《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》(1904-06頃)は、晩年の傑作のひとつだ。

 「この作品はブリヂストン美術館時代からコレクションの“顔”といえる存在。本展では随所に以前からある収蔵作品を配置し、現在のコレクションが石橋正二郎氏からの地続きであることがわかる構成にした」と森は説明する。

中央は、ポール・セザンヌ《サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール》(1904-06頃)

 第2章「印象派プラス」は、印象派の中心的画家であるピエール=オーギュスト・ルノワールやエドガー・ドガらの人物画に加え、近年収蔵された女性画家4人の作品も見ごたえがある。ベルト・モリゾは女性や子供のいる情景を軽快な筆致で描き出し、米国出身のメアリー・カサットは温かい関係性を捉えた母子像を得意とした。エヴァ・ゴンザレスの闊達な筆致と洗練された色彩感覚、マリー・ブラックモンによる巧みな自然光の表現も印象的だ。なお、第3、5章の章名にもつく「プラス」には、長く受け継がれてきたコレクションがさらに拡充されたという意味が込められている。

左から、ベルト・モリゾ《バルコニーの女と子ども》(1872)、メアリー・カサット《日光浴(浴後)》(1901)。石橋財団コレクションでは女性作家による作品の収集も精力的に行っている

 江戸期の「琳派」は石橋財団コレクションの柱のひとつだが、近年加わった逸品と対面できるのが第3章「近世美術プラス」(展示替えあり)だ。前期(〜4月5日)には俵屋宗達の周辺で使われた伊年印が捺された《源氏物語 浮舟、夢浮橋》(17世紀)が、そして後期(4月7日~5月24日)には尾形光琳《孔雀立葵図屏風》(18世紀、国重要文化財)などが公開される。前者は波の繊細な表現が目を引き、後者は大胆な構図と華麗な装飾性が際立つ光琳晩年の傑作だ。

第3章「近世美術プラス」の展示風景

編集部

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