展示は以下の5章で構成されている。
第1章「リメイク」(2階手前)
映画における「リメイク」という概念を主題としたインスタレーション。何層にも重ねられた布のあいだを来場者が通り抜ける構造となっており、映像と物理的空間が交差する体験を通じて、既存の映像が新たな意味を獲得していく様子を象徴している。
第2章「サン・ペテルスブルグの夜話」(2階奥)
戦争をテーマにした章。床に並べられた4台のブラウン管テレビが墓標のように配置され、戦争に関する映像が静かに流される。壁面にも映像が投影され、空間全体がひとつのインスタレーションとして機能している。

第3章「線路の間の花々は旅の迷い風に揺れて」(3階)
映画と列車というメディアの関係性に焦点を当てた章。列車を初めて見た少女が興奮するシーンなど、旅や移動、映画的時間を象徴するイメージが映し出される。自然光が多く差し込むこの空間にはソファが設置されており、来場者は滞在しながらじっくりと映像に向き合うことができる。
第4章「法の精神」(4階)
モンテスキューの著作『法の精神』に着想を得た章。6〜7台のプロジェクターから投影された映像が布に映し出され、その布が風に揺れることで、法や社会の不安定さ、揺らぎを視覚的に表現している。

最終章「中央地帯」+「幸福のアラビア」(4階奥)
「幸福なアラビア」をモチーフに構成された幻想的な空間。展示の終盤には、ダンスシーンやエンドロールに相当する映像が流れ、ジャン・ギャバンやダニエル・ダリューの出演する映画の一場面などが、別れや死、そしてゴダールへのオマージュとして挿入されている。



















