一夜限りの聖女の純愛。神奈川フィルハーモニー管弦楽団が織りなすシュトラウスの歌劇『サロメ』

神奈川フィルハーモニー管弦楽団は今シーズンより「Dramatic Series」を立ち上げる。この第1弾として、6月24日にリヒャルト・シュトラウスの歌劇『サロメ』を上演。日本国内から集結したキャスト、ドイツオペラに長けた同楽団音楽監督の沼尻竜典が参画する注目のオペラとなっている。

 神奈川フィルが新たにスタートさせた「Dramatic Series」は、オペラとオーケストラを堪能するための新シリーズ。オケがオペラを創造し、効果的な照明演出を用いながら、セミ・ステージ形式で上演する。公演は6月24日。

 R.シュトラウスの歌劇『サロメ』は、1893年にオスカー・ワイルドが発表したフランス語戯曲をヘドヴィヒ・ラハマンがドイツ語訳し、1905年にシュトラウスがオペラ化したもの。同年12月のドレスデン初演で人気を博したものの、その内容は「問題作」「不道徳」と判断されドイツ国内ではなかなか上演されなかった。

  全編に渡るオペラ作品の見どころの中でも、戯曲では一行のみで示される<七つのヴェールの踊り>はオーケストラ曲として秀逸であり、最大のクライマックス。そしてドラマはヨカナーンの首を欲するサロメに続く。

田崎尚美
福井敬

 今回の公演では神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏に加えて、サロメ役の田崎尚美やヘロデ役の福井敬をはじめ「現在考えられる最高の日本人歌手」が勢揃い。

  さらに、広報ビジュアルには仏像作家 九千房政光による「救世観音菩薩胸像」を採用。普遍的な美しさとどこか憂いを帯びた表情が、不可思議に恋心を秘め猟奇に首を欲すサロメの「純愛」と作品の世界観を盛り立てている。

 日本にも1907年に戯曲から紹介され、今日ではオペラとして世界中で知られるサロメの物語に、長くドイツオペラを指揮してきた音楽監督の沼尻竜典の指揮と国内屈指の豪華キャストを揃えた至極のオペラ。この機会にぜひ、堪能してほしい。

編集部

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