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揺らぐ世界のなかで開幕した「アート・バーゼル香港2026」。アジアに向かう視線と香港市場の現在地【2/3ページ】

香港で生まれる新たな動き

 実際、今年の香港アートウィーク期間中には新たな動きも相次いだ。上海のギャラリー「Antenna Space」が香港に新拠点を開設したほか、元大館コンテンポラリーのディレクターであるトビアス・ベルガーが関わる新スペース「GOLD」が始動。また、アート・バーゼル香港およびアート・セントラルに加え、今年1月に台北で新たに立ち上がった「PAVILION」の香港版、スーツケースサイズの作品に特化した「WEEKENDERS: suitcase art fair」など、新たなフェアも同時期に開催され、都市全体としてのアート・エコシステムの広がりが一層顕在化した。

会場風景より、Antenna Spaceのブース

 アート・バーゼル香港のVIP初日には、メガギャラリーやブルーチップギャラリーを中心に比較的好調なセールスが報告された。ハウザー&ワースは、ルイーズ・ブルジョワの紙作品4点組を295万ドルで、ジョージ・コンドの絵画を230万ドルで販売したという。同ギャラリー社長のマーク・パイヨは、「来場者の層の高さは驚くべきもので、アジア各地から非常に質の高いコレクターが集まっている」と述べたうえで、「市場を大きな危機とは捉えていない。確かに需要はやや落ち着いているが、最終的には何を見せ、どのように提示するかが重要だ」と指摘した。

会場風景より、ハウザー&ワースのブース

 Paceは、アレクサンダー・カルダーの大型モビールや、今月同ギャラリーに加わったアニカ・イなど、複数の作品を販売したという。社長兼CEOのマーク・グリムシャーは、「中東情勢の影響もあり、資金が香港に回帰する可能性がある」としつつ、「現在の市場のセンチメントは非常に複雑で、単純に捉えることはできない」と語る。

会場風景より、Paceのブース

 そのほか、デイヴィッド・ツヴィルナーは、劉野(リウ・イエ)の2006年の絵画を380万ドル、マルレーネ・デュマスの2002年の絵画を350万ドルで販売。Bastianギャラリーも、パブロ・ピカソによる1964年の油彩を約350万ユーロで売却した。

会場風景より、デイヴィッド・ツヴィルナーのブース

 ファーガス・マカフリーは、「全体的なムードは良好で、出展内容の質も高い。私たちは非常に楽観的に見ている」と語り、「アジア市場の重要性はコレクターだけでなく、美術館などの機関においても急速に高まっている」と強調する。中国本土での新たな美術館の開館などを挙げながら、アジアの存在感が一層強まっている現状を指摘した。

会場風景より、ファーガス・マカフリーのブース

編集部