アート市場分析会社「ArtTactic」が7月、2020年上半期のオークション市場の分析レポートを発表した。
同レポートによると、サザビーズ、クリスティーズ、フィリップスといったオークション・ハウスの3巨頭の売上高は、19年上半期の57億ドル(約6020億円)から約50パーセント減少し、28億8000万ドル(約3063億円)となった。
そんななかでもっとも大きな打撃を受けたのが、クリスティーズだ。その売上高は前年同期比で60パーセント減少。また、フィリップスは46.7パーセント減で、サザビーズは37.6パーセントの減少となった。
このレポートは、7月10日までに開催されたオークションの売上高を計上したもので、10日以降に開催されたセールの売上高は含まれていない。
全体の売上高が激減しているにもかかわらず、目立った数字を示しているのがオンライン・セールだ。オンラインでの売上高は前年同期の6900万ドル(約73億円)から497パーセント増加し、4億1260万ドル(約436億円)となった。
今年5月の時点で、3社は97パーセントの減少を記録しており、以降、これまで延期または中止となっていた主要なセールをライブ動画配信の形式で開催することで、それぞれの売上を後押ししていた。新型コロナの影響で人々の移動が制限されるなか、オンラインにシフトしたことは一定の効果を生んだと見られる。
カテゴリ別では、オールド・マスターは世界的な健康と経済危機の影響をあまり受けていないようだ。戦後・現代美術が34パーセント、印象派と近代美術が68パーセント減少したのに対し、今年上半期のオールド・マスターの売上高は22パーセントの減少にとどまった。
また地域別に見ると、香港の市場シェアは引き続き拡大しており、19年の15.8パーセントから21.9パーセントに増加。いっぽう、これまで圧倒的な市場優位を維持していたニューヨークは、昨年の50.2パーセントから40.8パーセントに減少し、第2位のロンドンは26.6パーセントと横ばいだった。