2027年4月23日から9月12日まで開催される第9回横浜トリエンナーレについて、主催者およびアーティスティック・ディレクターを務めるコスミン・コスティナシュとインティ・ゲレロが、3月25日に香港で行われたイベントに登壇し、キュラトリアル・コンセプトの一端を明らかにした。
第9回横浜トリエンナーレは、横浜美術館を中心に開催される国際展で、ルーマニア出身のコスティナシュとコロンビア出身のゲレロの2名がディレクションを担う。両者は第24回シドニー・ビエンナーレ(2024)でも共同ディレクターを務めるなど、国際的な協働キュレーションで知られる。
今回のイベントは正式なコンセプト発表ではないとしつつ、両キュレーターは現在進行中の思考を「スニークプレビュー」として共有した。コスティナシュはまず、横浜と香港という2つの港湾都市の共通性に言及する。「横浜と香港はほぼ同時期に形成され、海と強く結びついた都市であり、その歴史には多くの共通点がある」と述べ、展覧会が海を起点とした視点から構想されていることを示唆した。
そのうえで、キュラトリアルの核となるのは、生物学的プロセスと神話的想像力を横断する視点だという。日本の妖怪にも触れながら、「自然や社会の現象を捉えるローカルな知の枠組み」を参照し、現代の危機的状況を読み解く試みが構想されている。
象徴的なモチーフとして提示されたのが、「リュウグウノツカイ」と「ホエールフォール(鯨骨生物群集)」である。前者は災厄の前兆とされる深海魚であり、危機の兆候を象徴する存在。いっぽう、後者はクジラの死骸が海底に沈むことで新たな生態系を生み出す現象であり、「死が新たな生命を育む契機となる」という再生のメタファーとして位置づけられる。コスティナシュは、「不吉な兆しを希望へと転換する視点」を重要な出発点として挙げた。
ゲレロはさらに、海底に広がる通信インフラにも注目する。「世界を接続する海底ケーブルのネットワークは、電信の時代から現在に至るまで情報の流れを支えてきた」と述べ、通常は海域や地域名で呼ばれることの多い海底通信ケーブル網において、横浜が唯一都市名が付与された地点であることにも言及した。このような「見えないインフラ」もまた、本展を構成する重要な視点のひとつとなる。
こうした海洋、生態、神話、テクノロジーといった複数のレイヤーを横断しながら、新作コミッションを中心とした展示構想が進められている。また、横浜美術館のコレクションもキュラトリアルな枠組みのなかで再解釈される予定であり、既存資源と新たな制作が交差する場となることが期待される。参加作家は約80組を予定しており、その全貌は今後段階的に発表される見込みだ。





















