第9回横浜トリエンナーレ、2027年に開催へ。新ADにコスミン・コスティナシュとインティ・ゲレロが就任

2027年に開催される「第9回横浜トリエンナーレ」が会期とアーティスティック・ディレクターを発表した。

左からインティ・ゲレロ、コスミン・コスティナシュ 撮影=ヴォルフガング・ティルマンス

 横浜トリエンナーレ組織委員会は、「第9回横浜トリエンナーレ」の会期およびアーティスティック・ディレクターを発表した。

 次回のトリエンナーレは、2027年4月23日〜9月12日の124日間にわたり、横浜美術館を中心に開催される。企画を統括するアーティスティック・ディレクターには、国際的に活躍するキュレーター、コスミン・コスティナシュとインティ・ゲレロの2名が選出された。

 コスティナシュ(1982年、ルーマニア生まれ)は、香港のアートスペース「Para Site」のディレクターを10年以上務めたのち、現在はベルリンの世界文化の家(Haus der Kulturen der Welt/HKW)のシニア・キュレーターとして活動。いっぽう、ゲレロ(1983年、コロンビア生まれ)は美術教育にも携わりながら、香港を拠点に国際展の企画に広く関わってきた。横浜トリエンナーレ2020では、ラクス・メディア・コレクティブのディレクションのもと、横浜美術館会場での展示企画を担当している。

 両名は2024年の「第24回シドニー・ビエンナーレ」で共同アーティスティック・ディレクターを務め、終末論的な世界観に対し抵抗・喜び・希望を提示するキュレーションが高く評価された。アジア、アフリカ、欧米など幅広い地域と協働してきた経験を背景に、国際展の新たなかたちを構想する存在として注目を集めている。

 今回のアーティスティック・ディレクター選出にあたっては、国内外13組からの推薦をもとに22組の候補がリストアップされ、2段階の審査、現地リサーチ、企画案の提出、面談を経て決定された。第9回展アーティスティック・ディレクター選考委員会委員長の神谷幸江(国立新美術館 学芸課長)はプレスリリースで次のように述べている。

 「彼らは『国際展は本質的にローカルなもの』と語っています。文化的企画を生み出し継続するために、ローカルな文脈の中で機能し、受け入れられることの必要性を十分に認識し、横浜の持つ交流の歴史に深い関心を寄せ、この地が築いてきた文化の生態系に関わる意気込みを持っています。ローカルなリアリティ、同時代の課題をゆっくりと考える、新たな横浜トリエンナーレの姿を彼らは想像させてくれました。思いがけない勢いで、つながっていた世界を分断する力が現れている中で、サステイナブルにつながることの実践が生まれていくことを心から期待しています」。