いっぽうで、近年文化投資を加速させる湾岸諸国の影響力が増している。シェイカ・アル=マヤッサ・ビン・ハマド・ビン・ハリーファ・アル=サーニー(2位/カタール・ミュージアムズ会長)、フール・アル・カシミ(3位/シャルジャ美術財団創設者、シャルジャ・ビエンナーレ ディレクター)、バドル・ビン・アブドラ・アル・サウド(21位/サウジアラビア文化大臣)らが上位に入り、カーボン依存型経済からの脱却と国家ブランド戦略の一環として文化分野に巨額投資を行う湾岸地域の存在感が、世界のアートエコシステムを大きく変えつつある。
また、美術館・ギャラリーのあり方も転換点を迎えている。欧米の伝統的アートセンターでは資金難やプログラムの停滞が見られ、ミッドレベルギャラリーの閉廊や大手ギャラリーの収益減も深刻化している。この市場環境を反映し、ギャラリストの順位は軒並み下落した。アイワン・ワース、マニュエラ・ワース&マーク・パイヨ(ハウザー&ワース)は昨年28位から57位へ、デイヴィッド・ツヴィルナーは38位から67位へ、ラリー・ガゴシアンは35位から79位へ、マーク・グリムシャーは51位から84位へと順位を落とした。
そのいっぽうで、ミウッチャ・プラダ(32位)、ベルナール・アルノー(56位)、フランソワ・ピノー(58位)ら著名パトロンは、仲介者を挟まずアーティストに直接支援を行う流れを加速させている。



















