2008年に常設作品を中心に開館し、10年には十和田のまちを美術館にするプロジェクト「Arts Towada」を完成させた十和田市現代美術館。同館がその10周年を記念し、開館以来初となる常設作品の入れ替えを実施。2021年度以降、新たな作品3点を公開する。
まず4月1日からは、塩田千春による船と糸を使用したシリーズから新作を公開。同作は「十和田湖」に着想を得て、インスタレーションの一部に十和田湖で使用されていた船を用いたもので、国内の公立美術館では初の常設作品となる。
そして12月には、体験型の大規模なインスタレーションで知られるレアンドロ・エルリッヒの《建物》を、世界で初めての常設作品として新たな展示室で公開予定。鏡の効果によって鑑賞者が重力に逆らうように自由なポーズを取ることができる作品で、今回は作家の故郷であるアルゼンチンのブエノス・アイレスで馴染みのあるファサードが採用されている。
そして4月1日~2023年9月には、同館の倉庫を新たに改修し、寄託作品である名和晃平の《PixCell-Deer#52》(2018)を展示。同館での寄託作品の長期展示は初の取り組みとなる。
2020年4月には、金沢21世紀美術館のキュレーターであった鷲田めるろが新館長に就任したことでも話題を集めた十和田市現代美術館。時代をとらえて更新を続ける同館に、これからも注目したい。