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レアンドロ・エルリッヒ

Leandro Erlich

 レアンドロ・エルリッヒは1973年アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれ。錯覚や音響効果を使い、見慣れた風景に違和感を生じさせる大型インスタレーションで知られる。鏡を利用し、人が重力に逆らって建物の壁面にぶら下がっているように見える参加型の作品《建物》(2004 / 2017)や、試着室が迷路のように続く《試着室》(2008)など、人々が作品を共有できる場をつくり、人と空間との関わりや人が現実をどのように認識していくのかを探求する。いっぽう《シンボルの民主化》(2015)では、ブエノスアイレスのシンボル「オべリスク」の立ち入りできない塔上部を再現し、権力が一般市民に開放されるという社会的なメッセージを込めたプロジェクトも手がけている。

 これまでローマ現代美術館(2006)やMoMA PS1(2008)などで個展を開催。第49回ヴェネチア・ビエンナーレ(2001)、リバプール・ビエンナーレ2008など国際展に多数参加。日本では、2014年に金沢21世紀美術館で初個展を開催し、17〜18年の「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」(森美術館、東京)では延べ61万人を動員した。金沢21世紀美術館で常設作品《スイミング・プール》(2004)、越後妻有里山現代美術館[キナーレ](新潟)で《Palimpsest: 空の池》(2018)(冬季は公開休止)を鑑賞することができる。美術館の光庭に設置されている《スイミング・プール》は内部が水色の空間となっており、外側からは水で満たされた状態に見える作品。《Palimpsest:空の池》は、ある地点に立つと敷地中央の池に建物の像が複層的に浮かんで見える作品となっている。