十和田市現代美術館は、鷲田めるろが2020年4月1日付で同館新館長に就任することを発表した。現館長・小池一子は3月31日で退任する。
鷲田めるろは1973年京都府生まれ。金沢21世紀美術館開館5年前の99年に同館建設事務局に着任、立ち上げに関わり、常設作品の設置などを担当した。2004年の開館後も同館キュレーターとして、「妹島和世+西沢立衛/SANAA」(2005)や「金沢アートプラットホーム 2008」、イェッぺ・ハイン(2011)、島袋道浩(2013〜14)など、数多くの展覧会を手がけてきた。また、17年の第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展では日本館キュレーター(作家:岩崎貴宏)を務め、あいちトリエンナーレ2019にはキュレーターのひとりとして参加した。
新体制となる2020年は、十和田市現代美術館を中核とするアートによるまちづくりプロジェクト「Arts Towada」が完成してから10年となる。就任にあたり、鷲田は次のようにコメントしている。
「これからも十和田市現代美術館は、まちとのつながりを大切にし、地域コミュニティの結節点としての役割を果たしてゆきます。 さらに、開館以来、海外を含む多くの観光客が訪れるようになりました。弘前れんが倉庫美術館の開館や八戸市美術館のリニューアルも間近に控え、青森県はアートの集積地としての注目度が高まっています。十和田湖や奥入瀬渓流に代表される豊かな自然とともに、『アートの街』として、十和田の魅力を広く発信してゆきます」。
退任する小池一子は、十和田市現代美術館開館の構想段階から専門委員として携わり、2016 年度より館長に就任。これまでに「On the Beach ヨーガン レール 海からのメッセージ」(2016)や「横尾忠則 十和田ロマン展 POP IT ALL」(2017)などを手がけた。退任後も小池は、十和田市現代美術館パートナーズ(TAPS)特別顧問として、同館に関わっていくという。
小池は館長交代に関して、こうコメントしている。「美術館から広がっていく感性の波は地域の魅力をつくることにもつながります。サステイナブルで革新的、文化を発信 し続ける街、十和田への夢はつきません。お世話になったみなさま、ありがとうございました」。
同館の館長交代は、京都市京セラ美術館(館長:青木淳)、森美術館(館長:片岡真実)、アーティゾン美術館(副館長:笠原美智子)、横浜美術館(館長:蔵屋美香)に続き、大型の美術館人事となる。