日本美術史の巨匠×現代作家。そんな共演が、2020年春の国立新美術館で見られる。
「古典×現代2020─時空を超える日本のアート」と題された本展は、オリンピックを契機に注目が集まる東京で、日本美術史に名を残す巨匠たちの作品と、現代の気鋭の作家たちの作品を組み合わせ、日本美術の新たな魅力を発信しようという試みだ。
展覧会では、古典美術から曾我蕭白、尾形乾山、円空、仙厓、葛飾北斎などの巨匠に加え、鎌倉時代の仏像や、伊藤若冲をはじめとする江戸時代の花鳥画、刀剣の名品を展示。これら古典美術の作品が国立新美術館に並ぶのは、今回が初めてとなる。
こうした古典美術に呼応するのが、川内倫子、鴻池朋子、しりあがり寿、菅木志雄、棚田康司、田根剛、皆川明、横尾忠則の8作家だ。
会場は、この8作家がそれぞれ古典の作家・作品と対になるように展示を構成。1組ずつ、8つの展示室で作品を見せる。出品点数は古典が約100点、現代が約100点の計約200点(展示替えあり)。
例えば、「もの派」を代表するアーティスト・菅木志雄は仙厓と共演。仙厓の《円相図》(19世紀)に応答し、円形のステンレス板と木や石などを組み合わせた《支空》(1985)を再制作するほか、新作も発表する。
マンガ家であり、近年では美術の分野でも作品を発表しているしりあがり寿は、自身が敬愛する葛飾北斎と作品を並べる。本展では、《冨嶽三十六景》(19世紀)を独自に解釈したパロディ作品《ちょっと可笑しなほぼ三十六景》(2017)のほか、新作のアニメーション作品も制作中だという。
国内外で活動する建築家・田根剛は、滋賀の古刹・西明寺に伝わる2体の菩薩像《日光菩薩立像》《月光菩薩立像》(ともに鎌倉時代)に着想を得、祈りと対話の空間をつくりあげる。
これまでも、奇想の画家として知られる曾我蕭白にインスパイアされた作品を手がけてきた横尾忠則は、蕭白に着想を得た新作を発表。また蕭白作品としては、実在の景色を描いた「真景図」や、中国の故事を描いた屏風などが展覧される。
本展は、国立新美術館としては初となる「國華社」と共同企画。國華社は1889年に岡倉天心らによって創刊された、世界最古の月刊美術雑誌とされており、これまで約1万点の古典作品を紹介してきた。本展では、國華主幹・小林忠が古典の総監修を務める。
なお同時期に、六本木の森美術館では、草間彌生、杉本博司、奈良美智、宮島達男、村上隆、李禹煥といった日本の現代美術を代表するアーティストたちを集めた「STARS展」(2020年4月23日~ 9月6日)が開催予定。「古典×現代2020」とあわせ、六本木に、古典から現代までの巨匠が集結するタイミングとなる。