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曾我蕭白

Shohaku Soga

 曾我蕭白は18世紀の京都で活躍した「奇想の画家」。蕭白の出自についてはいまだ謎が多いが、1730(享保15)年、京都の商家に生まれたと伝えられる。その画風から、京狩野の流れをくむ高田敬輔に学んだと考えられており、雲谷派の影響も見られる。室町時代の伝説的な水墨画家・曾我蛇足に私淑し、自らその十世を名乗った。あくの強いエキセントリックな表現が特徴で、残る逸話も蕭白の破天荒な人物像を伝えているが、75(安永4)年版の『平安人物志』にその名が掲載されていることなどから、当時一定の享受層が存在したことがわかる。中世以来の禅画の精神に加え、奇を好む文人的気質、狂を尊ぶ陽明学左派の思潮が、蕭白のような奇想の画家が生まれる文化的土壌となったのであろう。六曲一双の大画面に水墨と濃彩のモチーフが入り乱れる奇々怪々の《群仙図屏風》は、蕭白の画技が余すことなく発揮された代表作である。59(宝暦9)年頃と64(明和元)年頃の少なくとも二度、伊勢地方に滞在しており、三重県内にまとまった数の作品が残されている。