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仙厓義梵

Sengai Gibon

 仙厓義梵は江戸時代後期の禅僧画家。1750(寛延3)年、美濃国武儀郡武芸町(岐阜県)に生まれる。60(宝暦10)年、美濃清泰寺の臨済僧となり、68(明和5)年、東輝庵(神奈川県横浜市)の月船禅彗に師事。32歳で東輝庵を出て諸国を行脚し、38歳のときに福岡県福岡市博多区の聖福寺の次期住持に承認され、2年後の1789(寛政元)年から1811(文化8)年までの22年間、第123世住持を務めた。

 狂歌を多く詠んでおり、その諧謔の精神を伝える逸話も多い。仙厓が本格的に絵を描き始めるのは、聖福寺の住職時代、40代後半からと見られている。飄逸な画風は庶民に親しまれ、揮毫の依頼が絶えなかったようで、「うらめしや わが隠れ家は 雪隠か 来る人ごとに 紙おいてゆく」という歌や「絶筆」と記された石碑の図まで残っている。37(天保8)年没。

 福岡では「仙厓さん」と呼ばれ親しまれ、多くの作品が同地に遺されており、福岡市美術館、九州大学文学部が仙厓の作品を多数所蔵している。また、出光興産の創業者・出光佐三がその作品に魅せられ、《指月布袋画賛》や《○△□》などを含む一大コレクションを築いたことでも知られる。