「ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷」が千葉県立美術館で開催。印刷の歴史と技術の変遷をたどる

千葉市の千葉県立美術館で印刷物の美しさをテーマに、印刷博物館のコレクションから時代や地域ごとの貴重な印刷物を紹介する展覧会「ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷」が開催される 。会期は6月27日〜9月6日。

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 千葉県立美術館で、「ひらく、めくる、めぐる―印刷博物館の美しい印刷」が開催される。会期は6月27日〜9月6日。

浅井忠《図案草稿「本装丁」》千葉県立美術館蔵

 本展は印刷の歴史を様々な視点からひもとき、その美しさに焦点を当てる展覧会。各時代や地域において、思想家や文筆家、デザイナー、職人たちが当時の最先端技術を駆使して生み出した貴重な印刷物を、印刷博物館のコレクションから厳選して紹介する。印刷がいかにして時代を映し、文化をかたちづくってきたのかを展観するとともに、同館での開催にあたり、千葉ゆかりの画家・浅井忠が手掛けた作品や、同県の風土にちなんだ海や船にまつわる作品も展示される。

活版印刷から江戸の流通網まで、東西の歴史をたどる

フィリップ・ピグーシェ 印刷、シモン・ヴォストル 出版『時禱書』(1502年頃)、印刷博物館蔵

 展覧会は3つの章で構成される。第1章「西洋の印刷―知のひろがり、美の極み」では、ヨハネス・グーテンベルクによる活版印刷の発明がヨーロッパ社会にもたらした変革に注目。書物が一部の階級から多くの人々へ広がり、歴史の流れを変えた時代の印刷物を紹介する。

《百万塔陀羅尼(相輪)》(764-770)、印刷博物館蔵
滝沢馬琴 著、柳川重信 他 画『南総里見八犬伝』(1814-42)、印刷博物館蔵

 続く第2章「日本の印刷―文学の世界、技の粋」では、日本の印刷の歴史をたどる。《百万塔陀羅尼》(764〜770)の登場から始まり、手書きの写本が高価だった時代を経て、江戸時代に印刷技術が広がり一般向けの印刷物が流通するまでの過程や、幕末・明治期の西洋式印刷術の導入による技術の飛躍を、代表的な資料とともに解説する。

デザインとしての印刷と、歩いて入り込む本の世界

アルフォンス・ミュシャ《LORENZACCIO》(1896)印刷博物館蔵

 第3章「デザインと印刷―広がる視覚、新しい形」では、コレクションを「デザイン」という視点から捉え直す。19世紀以降、活版印刷に代わって台頭した新しい技術により、大量印刷が可能となり、石版印刷を用いた繊細なポスターなどが誕生した。本章では、アルフォンス・ミュシャのポスターをはじめ、地図やちりめん本など多彩な表現の印刷物が並ぶ。

 さらに、体験型展示としてデジタルインスタレーション「ページの中を歩く」も展開される。スクリーンに映し出された書物の一場面を自由に歩きながら鑑賞でき、ディテールや色彩、印刷技術を間近に体感できる仕組みとなっている。

千葉ゆかりの画家・浅井忠の知られざる仕事と夏のイベント

浅井忠《甲辰明治三十七年暦》(1904)印刷博物館蔵

 千葉県立美術館での独自の試みとして、コレクション関連展示「浅井忠――印刷物とデザインの仕事」が併催される。洋画家として知られる浅井忠だが、アール・ヌーヴォーの影響を受け、教科書や雑誌などの印刷物、デザインも多く手掛けていた。本展では、浅井忠《甲辰明治三十七年暦》(1904)などを通して、デザインの側面に光を当てる。

 また、会期中には多彩な関連プログラムも予定されている。印刷博物館学芸員による講演会やギャラリートークのほか、美術館と周辺施設2カ所を巡り3つの版を重ねて絵を完成させる「重ね捺しスタンプラリー」を実施。アーティストの沼田侑香を講師に招き、浅井忠の図案をもとにアイロンビーズで作品を制作するワークショップや、ジャズコンサート、千葉県内の雑貨や食べ物、古本、ZINEの店舗が集まる夏祭り「ぐるぐる? アート縁日―ART と本をめぐる夏」など、展覧会と連動した幅広い催しが行われる。

編集部