CAF賞2024最優秀賞受賞者、鈴木晴絵の個展「トロイの箱、パンドラの木馬」が開催へ。反復されるイメージから、ことば以前の知覚を探る

東京・六本木の現代芸術振興財団で、作家・鈴木晴絵による個展「トロイの箱、パンドラの木馬」が開催される。会期は5月21日~6月27日。

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 東京・六本木の現代芸術振興財団で、CAF賞2024にて最優秀賞を受賞した作家・鈴木晴絵(1998〜)による個展「トロイの箱、パンドラの木馬」が開催される。会期は5月21日~6月27日。

 鈴木は神奈川県出身。2024年に、女子美術大学博士前期課程版画研究領域を修了。言葉を話すことができない自身の兄との生活のなかで得た「規律とカオス」の感覚と、版画が持つ「反復と差異」の性質を利用して制作を行う。版画やドローイング、コラージュなど多様な手法を用いており、近年は和紙やコットン、自宅近くの植物を利用した紙漉きを取り入れている。現在は、横須賀市田浦泉町のアーティスト村「YOKOSUKA ART VALLEY HIRAKU」 に入居し活動中。主な展示に「移動する庭」(福沢一郎記念館、東京、2025)、「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」(行幸地下ギャラリー、東京、2024)、個展「stars」(マチノワART55プロジェクト、東京、2024)などがある。

鈴木晴絵《新しい家》(2025)コラグラフ、ドローイング 写真提供:現代芸術振興財団
鈴木の兄の幼少期の写真。作家が繰り返し作品に使用するイメージだ 写真提供:作家

 以下、個展の開催に際して寄せられた作家のステートメントを掲載する。

本展のタイトル「トロイの箱、パンドラの木馬」は、「内側に何かが潜んでいて、それが放出されればもうもとには戻らない」という共通項を持つ、ギリシア神話の「トロイの木馬」と「パンドラの箱」を組み合わせたタイトルです。

規律とカオスのあいだを往復しながら、版画や手漉き紙を中心に、身体感覚や反復される行為、接触によって揺らぐ知覚に注目して制作しています。

制作の原点には、閉じられた空間のなかで蓄積された、きわめて個人的な経験や感覚の痕跡があります。それらを反復や工程によって「形式」へと変換していくことで、個人を超え、他者の身体感覚へとひらかれていく風景を立ち上げることを試みています。

本展では、ガムと、ある名前のサインを主なモチーフとして用います。言葉によって無意識に規定されたことがらを一度「もの」へと引き戻し、接触や反復を通して、内側に潜む感覚や、ことば以前の知覚を呼び起こすことを試みています。

(プレスリリース「作家ステートメント」より引用)
CAF賞2024入選作品展覧会より、鈴木晴絵《言葉の部屋》(2024) 撮影:木奥惠三 写真提供:現代芸術振興財団

 なお、本展は鈴木が受賞した「CAF賞2024最優秀賞」の副賞として実施される。CAF賞は、学生を対象に若手アーティスト育成を目的として2014年より毎年実施しているアートアワードで、最優秀賞受賞者には賞金100万円のほか、副賞として個展開催の機会を提供している。

編集部