大阪中之島美術館で「拡⼤するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」が開催【2/3ページ】

 本展は全5章で構成される。第1章は「オブジェ―『客観』と『超現実』の関係」。シュルレアリスムとは、私たちが疑うことなく現実だと認識しているもののなかから、より上位の現実である「超現実」を露呈させること。あらゆる事象を、客体(=オブジェ)として見つめることで「超現実」と向き合ったシュルレアリストたちのオブジェが紹介される。

アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』(初版本) 1924年 岡崎市美術博物館
フランシス・ピカビア《黄あげは》 1926年 大阪中之島美術館

 第2章「絵画―視覚芸術の新たな扉」では、文学的な実験に由来するシュルレアリスムの技法「自動筆記」(オートマティスム)による絵画作品に焦点が当てられる。エルンスト、マグリット、デルヴォー、ダリなどの作家による、人の深層心理や夢想を反映した不可思議な光景や人物像が描かれた作品が展覧される。

ルネ・マグリット《レディ・メイドの花束》 1957年 大阪中之島美術館
イヴ・タンギー《失われた鐘》 1929年 豊田市美術館

 第3章「写真―変容するイメージ」では、写真表現によってシュルレアリスムに向き合った作家の作品に迫る。19世紀前半に誕生した写真術は、被写体をそのまま写すという本来の役割を超えて、20世紀美術を彩る主要な表現のひとつとなった。マン・レイを筆頭に、各国の芸術家が挑戦した多彩な写真表現が紹介される。

ヴォルス《美しい肉片》 1939年 個人蔵

編集部