今週末に見たい展覧会ベスト17。藤田嗣治、日本美術の鉱脈、ゴッホに坂本龍一まで【2/6ページ】

「加藤泉 何者かへの道」(島根県立石見美術館

展示風景より

 島根県立石見美術館で開催されている、同県安来市出身のアーティスト・加藤泉の過去最大規模の個展「加藤泉 何者かへの道」は9月1日まで。会場レポートはこちら

 1990年代末より画家としての活動を始めた加藤は、シンプルな顔かたちの「人がた」を使って表現してきた。2000年代からは木彫作品にも取り組み、現在は石、布、ソフトビニール、プラモデルなど幅広い素材を取り入れた作品を発表している。

 本展は、初公開となる学生時代の油絵から最新作まで200点以上を一堂に展示。加藤のこれまでの歩みと最新の取り組みを振り返るもの。あわせて新作を含むインスタレーションや音楽活動、プロダクトなど、様々な角度から幅広い活動が紹介されている。

会期:2025年7月5日~9月1日
会場:島根県立石見美術館
住所:島根県益田市有明町5-15
開館時間:9:30~18:00 ※入館は閉館の30分前まで
料金:一般 1300円 / 大学生 600円 / 高校生以下無料 

「ヤノベケンジ 宇宙猫の秘密の島」(ハイパーミュージアム飯能)

宮沢湖の上に浮かぶ《宇宙猫の島》

 埼玉県飯能市宮沢湖のほとりにある、北欧のライフスタイルを体験できる「メッツァビレッジ」に誕生した新たな現代美術館「ハイパーミュージアム飯能」。そのこけら落としとなる「宇宙猫の秘密の島」は8月31日まで。会場レポートはこちら

 1990年代から「タンキング・マシーン」や「トらやん」「ラッキードラゴン」などのキャラクターの巨大彫刻をつくり続けているヤノベ。今回の展覧会では、「地球に生命をもたらした宇宙猫の物語」をテーマにした《BIG CAT BANG》の続編として、メッツァ敷地内の宮沢湖に眠り猫の巨大な浮島を出現させている。また、室内の展示は、「宇宙猫」のバックストーリーからスタートし、ヤノベが1990年の作家デビューから最近のAIを使った作品まで、立体や原画、特別映像など約80点で構成されている。

 ヤノベはプレス内覧会で、「この森の豊かな自然のなかで、何を見せようと考えたときに、宮沢湖の存在が気になってじっと見ていると、幻影のように巨大な猫が島の上に眠っているイマジネーションが降りてきた」と語っている。

会期:2025年3月1日~8月31日
会場:ハイパーミュージアム飯能
住所:埼玉県飯能市宮沢327-6
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
観覧料:大人 1200円 / 子供(4歳〜高校生)700円 / 3歳以下 無料

「ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》」(王城ビル)

展示風景より

 歌舞伎町の王城ビルで開催されている、映画監督ジャン=リュック・ゴダールの最後の長編映画『イメージの本』(2018)に着想を得た展覧会「感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について」は8月31日まで。会場レポートはこちら

 『イメージの本』は、歴史、戦争、宗教、芸術といった主題を軸に、過去の映画、音楽、文学、美術作品からの引用を織り交ぜて構成された映像詩である。全体は2部構成で、とくに第1部は5章に分かれ、それぞれが独立したテーマと形式をもつ。2018年のカンヌ国際映画祭では、映画祭史上初の「スペシャル・パルムドール」が本作に授与された。

 本展のアーティスト兼キュレーターを務めるのは、ゴダールの晩年の創作を支えたスイスの映画作家ファブリス・アラーニョ。『ゴダール・ソシアリスム』(2010)や『イメージの本』において撮影・音響・編集を担った人物である。展覧会は2020年にスイス・ニヨンで初めて開催され、その後ベルリンではゴダール本人との共同制作のもとで再構成され、日本では今回が初の開催となっている。

会期:2025年7月4日~8月31日
会場:王城ビル
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-13-2
開館時間:12:00~20:00 ※入場は閉館30分前まで
休館日:会期中無休
観覧料:一般 2200円 / 大学生、障がい者の方(介護者1名まで同料金)1500円 / 中学・高校生 1000円 / 小学生以下 無料