2024.2.16

今週末に行きたい展覧会ベスト8。マティスから庭園美術館の「A to Z」展、恵比寿映像祭まで

今週開幕・閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

展示風景より、ヴァンスのロザリオ礼拝堂(再現)
©︎ Succession H. Matisse
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心踊る色彩とかたちの世界へ。「マティス 自由なフォルム」(国立新美術館)

展示風景より、《花と果実》(1952〜53)
©︎ Succession H. Matisse

 東京・六本木の国立新美術館で、20世紀最大の巨匠のひとりアンリ・マティス(1869〜1954)。その切り紙絵に焦点を当てる「マティス 自由なフォルム」展がスタートした。会期は5月27日まで。監修は米田尚輝(国立新美術館学芸員)。

 本展は、マティスが晩年に過ごしたフランス・ニースにあるニース市マティス美術館の全面協力を得て、絵画、彫刻、素描、版画、テキスタイルなど約150点以上を紹介するものだ。会場は、ニースでの作品をメインとしながら、様々な時代と要素を持つ作品群が緩やかつながりを持つように構成されている点が特徴だ。レポートはこちら

会期:2024年2月14日〜5月27日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00(金土〜20:00)※入場は閉館の30分前まで
休館日:火(ただし、4月30日は開館)
料金:一般 2200円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料

自然と人間の関係性を考察する。エコロジー:循環をめぐるダイアローグ「つかの間の停泊者」展(銀座メゾンエルメスフォーラム8・9階)

Takeshi Yasura this ground is still alive 2022 installation Reborn Art Festival 2021-22, Miyagi Photo: Taichi Sato

 東京・銀座の銀座メゾンエルメスフォーラムで「つかの間の停泊者」展が開幕した。会期は5月31日まで。

 「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」展の第2会期として開催される本グループ展は、森美術館の開館20周年企画展「私たちのエコロジー」の関連企画。参加アーティストに、ニコラ・フロック、ケイト・ニュービー、保良雄、ラファエル・ザルカの4人を迎え、コンテンポラリー・アートというプラットフォームのなかで生成される自然と人間のエネルギーの循環、そして対話の可能性を考察するものとなっている。レポートはこちら

会期:2024年2月16日〜5月31日
会場:銀座メゾンエルメスフォーラム8・9階
住所:東京都中央区銀座5-4-1
電話番号:03-3569-3300 
開館時間:11:00〜19:00 ※入館は18:30まで
休館日:銀座店の営業に準ずる 
料金:無料

磯崎新へのオマージュも。国際巡回展「須藤玲子:NUNO の布づくり」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場)

展示風景:「MAKING NUNO: Japanese Textile Innovation from Sudo Reiko」 Japan House London、2021(C)Japan House London

 2019年に香港のCHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)で企画・開催され、その後、イングランド、スコットランド、スイス、そして国内では丸亀市猪熊弦一郎現代美術館を巡回してきた「須藤玲子:NUNOの布づくり」が、茨城県の水戸芸術館現代美術ギャラリーで開催される。会期は2月17日〜5月6日。

 本展は、須藤玲子とNUNOの布づくりを包括的に伝える大規模個展。会場では、須藤の代表作を通してその創作の姿勢を伝えるとともに、NUNOのテキスタイルを世に送り出してきた日本各地の工場にも焦点を当て、「布づくり」を支える創造的かつ技術的なプロセスが包括的に紹介される。

会期:2024年2月17日~5月6日
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
電話番号:029-227-8111 
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:月(祝日の場合は翌火曜日)
料金:一般 900円 / 高校生以下・70歳以上は無料

東京都庭園美術館の邸宅を読み解く。「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」(東京都庭園美術館)

展示風景より

 東京・目黒の東京都庭園美術館で、開館40周年を記念する展覧会「開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z」が開催される。会期は2月17日〜5月12日。

 本展は、旧朝香宮邸を見つめ直す試みとして、「Art Deco」「Bathroom」等、空間に散りばめられたキーワードを解説しながら導く構成となる。旧朝香宮邸に関する基本情報から、これまで紹介する機会がなかった内容まで、調査や取り組みの一端が紹介されるとともに、あるがままの旧朝香宮邸を知る機会として、ウインターガーデンをはじめ、通常の展示では公開されていなかったエリアも公開。さらに伊藤公象(1932〜)と須田悦弘(1969〜)のふたりの現代作家をゲストアーティストに迎え、本館内や庭園で、旧朝香宮邸をさらに深く読み解く手がかりとなるようなインスタレーションも展開されるという。

会期:2024年2月17日〜5月12日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00(3月22日、23日、29日、30日は〜20:00)
休館日:月
料金:一般 1400円 / 大学生 1120円 / 中学生・高校生 700円 / 65歳以上 700円
※オンラインによる日時指定制

第27回には22組のアーティストが入選。「第27回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」(川崎市岡本太郎美術館)

岡本太郎

 岡本太郎の精神を継承し、自由な視点と発想で現代社会に鋭いメッセージを突きつける作家を顕彰するべく設立された岡本太郎現代芸術賞(通称「TARO賞」)。第27回の入選者が発表された。

 621点の応募のなかから入選した22組は、池田武史、大河原健太、長雪恵、遅四グランプリ実行委員会、小山恭史、クレメンタイン・ナット、月光社、小山久美子、GORILLA PARK、鈴木のぞみ、ZENG HUIRU、タツルハタヤマ、 つん、野村絵梨、林楷人、フロリアン・ガデン、三角瞳、村尾かずこ、村上力、横岑竜之、横山豊蘭、李函樳。

 各入選者には賞金10万円が授与。その後、最終審査を経て2月16日の授賞式当日に、岡本太郎賞(1名)、岡本敏子賞(1名)、特別賞(若干名)が決定される予定となっている。展覧会は2月17日より開幕だ。

会期:2024年2月17日〜4月14日
会場:川崎市岡本太郎美術館
住所:神奈川県川崎市多摩区枡形7-1-5 生田緑地内
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は16:30まで
休館日:月、3月21日 
料金:一般 700円 / 高大学生、65歳以上 500円 / 中学生以下無料

アートのなかの椅子を読み解く。企画展「アブソリュート・チェアーズ」(埼玉県立近代美術館)

宮永愛子 waiting for awakening -chair- 2017 写真:木奥恵三
©️ MIYANAGA Aiko Courtesy of Mizuma Art Gallery「宮永愛子:漕法」展示風景(高松市美術館、2019)

 埼玉県立近代美術館で、企画展「アブソリュート・チェアーズ」が開催される。会期は2月17日〜5月12日。

 椅子は多くのデザイナーや建築家の創造性を刺激する絶対的なテーマであると同時に、アーティストにとっても魅力的なモチーフとなってきた。玉座のように権威の象徴となることもあれば、車椅子のように身体の補助となることもあり、電気椅子のように死や暴力とも無縁ではない。このうえなく身近でありながら、社会や身体との密接な関わりのなかで幅広い意味や象徴性をまとった椅子は、まさに究極の日用品といえるだろう。

 本展は、主に戦後から現代までの美術作品における椅子の表現に着目。椅子をめぐる国内外の平面・立体・映像作品約70点を通じて、アートのなかの椅子の機能や含意を読み解くものとなっている。

会期:2024年2月17日〜5月12日
会場:埼玉県立近代美術館
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤 9-30-1
電話番号:048-824-0111 
開館時間:10:00〜17:30 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし4月29日、5月6日は開館) 
料金:一般 1300円 / 大学・高校生 1040円 / 中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方(付き添いの方1名を含む)無料

「特別展 石川直樹:ASCENT OF 14 ―14 座へ」(日比谷図書文化館)

メインビジュアル

 日比谷図書文化館で開催中の、写真家・石川直樹による特別展「石川直樹:ASCENT OF 14 ―14 座へ」が2月18日に閉幕する。

 タイトルが示す「14座」とは、ヒマラヤ山脈とカラコルム山脈にまたがる8000メートル峰、14の山々を指す。本展では、2001年にはじめて石川がチベットの地に訪れて以来、22年間にわたって関わってきた14の山々の写真を展示。また、図書館の蔵書や新聞記事を掘り起こし、これまで人々がヒマラヤの山にどういった関心を抱いてきたのか、テキストなどを紹介しながら、文学的・文化的なアプローチで山・登山の姿を明らかにしていく。

会期:2023年12月16日〜2024年2月18日
会場:日比谷図書文化館
住所:東京都千代田区日比谷公園1-4
電話番号:03-3502-3343(図書フロア) 
開館時間:10:00〜19:00(金〜20:00、日祝〜17:00) 
休館日:無休
料金:一般 300円 / 大学・高校生 200円(千代田区民・中学生以下、障害者手帳などをお持ちの方および付き添いの方1名は無料)

「恵比寿映像祭2024『月へ行く30の方法/30 Ways to Go to the Moon」』」(東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス センター広場 ほか)

展示風景より、土屋信子《月へ行く30の方法》(2024)

 東京・恵比寿の東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイスセンター広場などを中心に展開される「恵比寿映像祭2024『月へ行く30の方法/30 Ways to Go to the Moon」』」が2月18日まで開催中だ。

 同映像祭は、映像をめぐる様々な選択肢に目をむけ、多様化する映像表現と映像受容の在り方を問い直し、発信してきた。第16回目の開催を迎える今年の映像祭では、現代美術家・土屋信子によるプロジェクトタイトル「月へ行く30の方法」を全体テーマに掲げ、映像表現におけるオルタナティヴな視点や、アーティストらの表現を通じて未来への取り組みを模索するものとなっている。また、複製メディアである映像や写真などにおける「一回性」にも焦点を当てている。レポートはこちら

 なお、3階展示室で公開されているコミッション・プロジェクトの作品は3月24日まで鑑賞可能となっている。

会期:2024年2月2日~18日 
※コミッション・プロジェクト(3階展示室)のみ3月24日まで
会場:東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス センター広場 ほか
電話番号:03-3280-0099 
開館時間:10:00~20:00(18日~18:00)
※2月20日~3月24日のコミッション・プロジェクトは10:00~18:00(木金~20:00)
休館日:月(ただし12日は開館、翌日13日は休館)
料金:入場無料 
※一部プログラムのみ有料