アレックス・カッツから倉俣史郎、山口晃のジャム・セッションまで。今週末に見たい展覧会ベスト9

今週開幕・閉幕する展覧会から、とくに注目したいものをピックアップしてお届け。最新情報は各館公式サイトを参照してほしい。

倉俣史朗 ハウ・ハイ・ザ・ムーン 1976 富山県美術館蔵 撮影=柳原良平 © Kuramata Design Office

新作を中心に。「アレックス・カッツ 京都展」(有斐斎弘道館)

展示風景より

 アメリカを代表するアーティストであるアレックス・カッツ。その新作を中心とする個展「アレックス・カッツ 京都展」が、京都市の有斐斎弘道館でスタートした。レポートはこちらから。

 本展は、カッツ本人のたっての希望で実現した個展。展示作品は新作を中心に21点。木製ボードにオイルで描いた「Study for Spring」シリーズと「Study for Summer」シリーズがその中心となっており、桜や新緑が描かれた作品にあ、カッツの日本で展覧会をしたいという想いが反映されている。日本で展示機会が少ない作家の作品を一堂に鑑賞できる貴重な個展だ。

会期:2023年11月16日〜12月6日
会場:有斐斎弘道館
住所:京都市上京区上長者町通新町東入ル元土御門町524-1
電話番号:075-441-6662
開館時間:12:00〜17:00 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:無料 ※入館は事前予約制。予約サイトより事前登録が必要

Nerhol「REVERBERATION」(The Mass)

 飯田竜太と田中義久からなるアーティストデュオ・Nerhol。その個展がThe Massで18日に開幕する。

 本展でNerholが発表する作品群のテーマとなっているのは帰化植物。これらは本来の自生地から人間活動を含む様々な要因によってほかの地域へ運ばれ、やがてその土地で野生化した植物のことを指す。帰化植物作品はNerholが近年制作を続けてきたシリーズのひとつであり、普段何気なく目にするものを再び意識させ、そこに向き合う時間を与えてくれる作品群となっている。

会期:2023年11月18日~12月26日
会場:The Mass
住所:東京都渋谷区神宮前5-11-1
電話番号:03-3406-0188
開館時間:12:00~19:00
休館日:月火(12月25日、26日は特別開廊)
料金:無料

20組が共演。「ATAMI ART GRANT 2023」(熱海市内各所)

 静岡・熱海の様々な魅力に触れることができる芸術祭「ATAMI ART GRANT 2023」が11月18日に開幕する。

 同芸術祭はPROJECT ATAMI 実行委員会によるもの。「ATAMI ART GRANT」は、アーティストの制作活動支援を目的とした取り組みで、3年目となる今年は「巡-Voyage ATAMI」をテーマにアーティストを公募し、審査員による厳正なる審査の結果、20組の認定者が決定した。認定者によって制作される作品を、熱海市内を巡ることで鑑賞できる。

 20組のラインナップは次の通り。安里槙、熱海シネマ、伊藤瑞生、井橋亜璃紗、梅原徹、榎倉冴香、兼平翔太、神谷紀彰、宍倉志信、坂井存+TIAR、土井健史、中村岳、原田裕規、副産物産店(矢津吉隆 + 山田毅)、水田雅也、みょうじなまえ、百瀬文、安村卓士、羊喘兒、渡邉顕人。

 なお、この開幕に合わせて、東京・南青山で同芸術祭のポップアップとなる「ATAMI ART GRANT 2023『外覧会』」も開催される。会期は11月17日〜11月19日。

会期:2023年11月18日〜12月17日
会場:静岡県熱海市内
開場時間:11:00〜18:00 ※17:00受付終了
休催日:月火
料金:一般 3000円 / 学生 2500円

倉俣の実像に迫る。「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」(世田谷美術館

展示風景より、中央は倉俣史朗「ミス・ブランチ」(1988)

 1960年代以降のデザイン界において、世界的に高い評価を受けたデザイナー・倉俣史朗(1934〜1991)。没後30年を超えて、あらためてその人柄と作品を検証することで、その独自の詩情あふれるデザインを読み解き直す展覧会「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」が世田谷美術館で18日に開幕する。

 本展は、作家の内面やその思考の背景による「倉俣史朗自身」をひとつの軸としつつ、その「倉俣史朗自身」と紐づけながら初期から晩年までの作品を紹介することを試みるもの。会場は、倉俣の三愛所属時代の仕事を紹介するプロローグに始まり、テーマごとに仕事を取り上げる4つのパート、そしてエピローグで構成。「倉俣史朗の私空間」と称して、愛蔵の書籍とレコードも展示されるなど、倉俣の実像にせまる内容となる。

会期:2023年11月18日〜2024年1月28日
会場:世田谷美術館
住所:東京都世田谷区砧公園1-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00 ※入場は17:30まで 
休館日:月(ただし1月8日は開館)、年末年始(12月29日~2024年1月3日)、1月9日
料金:一般 1200円 / 65歳以上 1000円 / 大高生 800円 / 中小生 500円

新作インスタレーションを発表。「特別展示:池田亮司」(金沢21世紀美術館

OCT 14 - NOV 12 2022
TARO NASU, Tokyo, JP
data.gram
Photo by Keizo Kioku materials: LED display, computer dimensions: W71.7 x H41.6 cm concept, composition: Ryoji Ikeda

 金沢21世紀美術館が、同館の今年のテーマである「アート× 新しいテクノロジー」にあわせ、「特別展示:池田亮司」が18日に幕を開ける。

 本展では、未発表を含む映像作品23点から構成される新作インスタレーション《data.gram [nº6]》を展示。「data.gram」は、池田による大規模なオーディオビジュアルインスタレーション「data-verse」三部作(2019-2020) を再構築した新シリーズだ。ミクロな自然の世界、人間をとりまく世界、そしてマクロな自然の世界という三つの異なるスケールの世界を描く《data.gram [nº6]》に注目だ。

会期:2023年11月18日~2024年5月12日
会場:金沢21世紀美術館
住所:金沢市広坂1-2-1
電話番号:076-220-2800 
開館時間:10:00~18:00(金土〜20:00) 
休館日:月(ただし1月8日、2月12日は開場)、12月29日~1月1日、1月4日、1月9日、2月13日、4月30日、5月7日
料金:一般 450円 / 大学生 310円 / 高校生以下無料 / 65歳以上 360円

サンサシオンの重要性とは。「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」(アーティゾン美術館

展示風景より、《汝、経験に依りて過つ》

 東京・京橋のアーティゾン美術館で、石橋財団コレクションと現代美術家の共演「ジャム・セッション」の第4弾となる展覧会「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」が19日まで開催中だ。

 本展では、「サンサシオン」(フランス語で「感覚」)を開くひっかけとなる新作インスタレーション《汝、経験に依りて過つ》が登場。また、山口が愛してやまないポール・セザンヌ、雪舟の作品のほか、これらと山口晃の「セッション」を見ることができる。レポートはこちら、山口晃のインタビューはこちらから。

会期:2023年9月9日〜11月19日
会場:アーティゾン美術館 6階展示室
住所:東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜18:00(11月3日を除く金〜20:00) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日
料金:日時指定予約 ウェブチケット 1200円 / 窓口販売チケット 1500円 / 学生無料(要ウェブ予約)

日本とトルコをつなぐもの。「山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ」(ワタリウム美術館

展示風景より

 日本とトルコの国交樹立100周年となる2024年を前に、山田寅次郎(1866〜1957)という青年を介し、日土の交流を紹介する展覧会「山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ」が、ワタリウム美術館で19日まで開催されている。レポートはこちらから。

 本展は、山田寅次郎という明治の人物を介し、日本とトルコという異なる歴史を持つ2つの国が交流する様子を伝えながら、相手の文化を深く尊敬することの大切さを感じる展覧会となっている。

会期:2023年8月11日〜11月19日
会場:ワタリウム美術館
住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6
電話番号:03-3402-3001
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月(ただし9月18日、10月9日は開館)
料金:大人 1400円 / 大人ペア 2400円 / 学生(25歳以下)・高校生・70歳以上・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳所持者および介助者(1名まで) 1200円 / 小・中学生 700円
※入館料のうち、ひとり200円を義捐金としてトルコ地震の被害地へ寄付。

世界情勢を反映した作品も。「福田美蘭ー美術って、なに?」(名古屋市美術館

展示風景より、《プーチン大統領の肖像》(2023)

 中部地域初となる福田美蘭の個展「福田美蘭ー美術って、なに?」が、名古屋市美術館で19日に閉幕する。レポートはこちらから。

 福田美蘭(1963〜)は、東京藝術大学大学院を修了後、具象絵画の登竜門と言われた安井賞を最年少で受賞し、国内外で活躍を続ける現代美術家だ。現代社会が抱える問題に鋭く切り込み、ときにユーモアを添えて絵画化して見せたり、意識して 「もの」を見ることを促したり、東西の美術、日本の伝統や文化を、意表を突くような手法であらわしたりして、既成概念を打ち破ってきた。そして現在も、絵画の新たな可能性に挑み続けている。

 本展では、1980年代の初期から近年までの作品を3章にわたって構成。約50点の作品が展示されており、福田の世界観を紹介するものとなっている。また、本展のために新たに制作された、現在の世界情勢を映した新作にも注目だ。

会期:2023年9月24日〜11月19日
会場:名古屋市美術館
住所:名古屋市中区栄2-17-25(芸術と科学の杜・白川公園内)
電話番号:052-212-0001
開館時間:9:30~17:00(金〜20:00、11月3日を除く)
休館日:月(10月9日は開館)、10月10日
料金:一般 1500円 / 大学・高校生 1100円 / 中学生以下無料

新シリーズを初公開。三宅砂織Nowhere in Blue」(WAITINGROOM

三宅砂織 Nowhere in Blue 2023

 WAITINGROOMで三宅砂織の個展「Nowhere in Blue」が19日まで開催中だ。

 三宅はこれまで様々な経緯で出会った既存の画像を、ネガポジ反転させて透明シートの上に描き、それを感光紙の上に重ねて露光することで、ドローイングの「影」を印画するというフォトグラムの手法に取り組んできた。本展ではは、サイアノタイプの新シリーズと、その思考を反映させた映像作品を初めて展示。世界的なパンデミックの経験や生成AIの爆発的普及など、劇的に変化し続ける日常を三宅がアーティストとして過ごすなかで、森林や庭園を歩くことから見出した「ランドスケープ(風景/風景画)」についての思索が反映されたシリーズだ。

会期:2023年10月21日~11月19日
会場:WAITINGROOM
住所:東京都文京区水道2-14-2 1F
電話番号:03-6304-1877
開館時間:12:00~19:00(日〜17:00)
休館日:月火祝
料金:無料

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