歌舞伎町の王城ビルを舞台に。Chim↑Pom from Smappa!Group「ナラッキー」(王城ビル)
Chim↑Pom from Smappa!Group(以下、Chim↑Pom)による新プロジェクト「ナラッキー」が東京・新宿の王城ビルで開催される。会期は9月2日〜10月1日。
1964年に竣工し、2020年3月まで続いてきた王城ビル。今後、王城ビルが街と人をつなぐ場として、東京・歌舞伎町のアートのハブとしての役割を担うため、どのような機能を持った場が必要かを検討し提案する任意団体「歌舞伎町アートセンター構想委員会」が立ち上がった。
同委員会からの提案により、王城ビル所有者である大星商事株式会社とChim↑Pomのプロジェクト型展覧会「ナラッキー」を第1弾として開催。王城ビルの全館を使用する本展では、「奈落」をテーマに、Chim↑Pomが新作インスタレーションを制作・常設展示する。ほかにも、レストランや各種イベント、ショップも手がけ、王城ビルを1ヶ月限定の「Chim↑Pom from Smappa!Group による美術館」のような施設へと変身させる。
会期:2023年9月2日〜10月1日
会場:王城ビル
住所:東京都新宿区歌舞伎町1−13−2
開館時間:15:00~21:00(最終入館は20:30まで) ※1階レストランは22:00まで営業
休館日:火
料金:一般 2000円 / 学生、障がい者手帳所持者 1500円
オンラインサイト:www.hellonaraku.com
キャラクターと同居する「わたしたち」。市川慧作品展「Tokyo Planetes」(銀座 蔦屋書店)
銀座 蔦屋書店で、市川慧の作品展「Tokyo Planetes」が開催される。会期は9月2日〜9月15日。
市川の作品において写実的に描かれる背広姿の人物「AKIO」は、混沌とした現代社会のなかで生きる人々を彷彿とさせる。いっぽう、この「AKIO」とともにアニメ/マンガ的な表現で描かれるキャラクター達は、こうした人物を俯瞰する存在にも思える。異なる技法で描かれた人物/キャラクターを同一のキャンバスに配置するこの手法について、市川は「映画監督が彼らを演出するかのように」制作していると語る。
本展のタイトルでもある「Planetes」はギリシャ語で「さまよう人」や「惑う人」を意味し、英語の「Planet(惑星)」の語源でもある。つねに輝く恒星だけでなく、そのまわりをさまよう惑星にも目を向け、次元の違うものが共存する可能性の追求を試みる市川の作品世界が展覧される。
会期:2023年9月2日~9月15日
会場:銀座 蔦屋書店 スターバックス前
住所:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6階
電話番号:03-3575-7755
開館時間:営業時間は店舗ウェブサイトを参照
料金:無料
落合陽一「晴れときどきライカ」(ライカギャラリー東京 / ライカギャラリー京都)
メディアアーティスト・落合陽一の写真展「晴れときどきライカ」がライカギャラリー東京とライカギャラリー京都で開催される。会期は東京が9月1日〜10月29日、京都が9月2日〜10月29日。
今回、落合はライカギャラリー東京で「晴れときどきライカ ── 逆逆たかり行動とダダイズムを、そしてライカギャラリー京都では「晴れときどきライカ ── 質量への憧憬、ラーメンは風のように」と題した個展を同時開催。“晴れときどきライカ”という自身の日常を描き出すフレーズを軸に、作品が展開される。
また、会場ではキャプションのQRコードを読み取ることで、写真の見え方が大きく変わる仕掛けも施されている。会場に足を運ぶ際にはぜひ試して見てほしい。
「晴れときどきライカ ── 逆逆たかり行動とダダイズム」
会期: 2023年9月1日〜10月29日
会場:ライカギャラリー東京(ライカ銀座店2F)
住所:東京都中央区銀座6-4-1 2F
電話番号:03-6215-7070
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月
料金:無料
晴れときどきライカ ── 質量への憧憬、ラーメンは風のように
会期:2023年9月2日〜10月29日
会場:ライカギャラリー京都(ライカ京都店2F)
住所:京都府京都市東山区祇園町南側570-120
電話番号:075-532-0320
開館時間:11:00〜19:00
休館日:月
料金:無料
フォーカスするのは「顔」。ジャン=フィリップ・デローム「visage(s)」(ペロタン東京)
六本木のペロタン東京で、同ギャラリー初となるジャン=フィリップ・デローム(1959〜)の個展「visage(s)」が開催される。会期は8月31日〜10月14日。
ジャン=フィリップ・デロームは、風景画、静物画、肖像画といった古典的なアプローチを通して表現の歴史を継承するアーティストだ。その作風は、写真に頼ることなく直に被写体を観察し、一度に描き上げるもの。移り変わる光による儚い雰囲気の風景やスタジオを訪れたモデルの一時的な存在など、「いま、ここ」をとらえている。
本展では、パリのアトリエで古典的なポーズをとったモデルたちを描いた一連の新作肖像画が発表される。本展タイトル「visage(s)」はフランス語で「顔」を意味するもので、デロームの絵画が身体よりも顔に焦点を当てていることが強調されている。デロームは「顔は、傷つきやすさ、もろさ、変化が表れる。風景が光によって変化するように、顔は日々変化し、ポーズをとっている間にも変化するものです」とのコメントを寄せている。
会期:2023年8月31日〜10月14日
会場:ペロタン東京
住所:東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル1階
電話番号:11:00〜19:00
休館日:日月
料金:無料
かつての文人たちが憧れた「隠遁生活」にフォーカス。企画展「楽しい隠遁生活―文人たちのマインドフルネス」(泉屋博古館東京)
東京・六本木の泉屋博古館東京で「楽しい隠遁生活―文人たちのマインドフルネス」が9月2日より開催される。
忙しない俗世を離れ、穏やかな隠遁生活を送りたいと考えるのは現代人ばかりではない。かつての人々もそのような生活に憧れを抱き、自由を希求する「自娯遊戯」の世界を描いた絵画や工芸品を求めていたという。
本展では、理想の隠遁空間をイメージした山水・風景や、彼らが慕った中国の隠者たちの姿を描いた絵画作品とともに、清閑な暮らしのなかで愛玩されたであろう細緻な文房具などもあわせて展示。中国の士大夫や日本の文人たちが抱いたマインドフルネス(安寧な心理状態)に触れることで、暮らしを楽しむ「生の充実」を味わうことができるだろう。
会期:2023年9月2日~ 10月15日
会場:泉屋博古館東京
住所:東京都港区六本木1-5-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:11:00〜18:00(金〜19:00)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(ただし9月18日、10月9日は開館)、9月19日、10月10日
料金:一般 1000円 / 高大生 600円 / 中学生以下無料
美人画からみる、キモノの魅力や流行。「美人画 麗しきキモノ」(太田記念美術館)
美人画の歴史とともに、そこに描かれるキモノに注目し、当時の流行や着こなし、様々なデザインなどをひも解く展覧会「美人画 麗しきキモノ」が東京・原宿の太田記念美術館で開催される。会期は9月1日〜10月22日。
最新モードをまとった女性を描く「美人画」は、流行を切り取る浮世絵において重要なジャンルであった。そのなかに描かれたキモノは、当時の美意識を伝えるだけでなく、社会的な背景から豊かな服飾文化が花開いていたことを現代に伝えるものでもある。魅力的なキモノを描くことは、その美人画の優品を生み出すことにも大きく影響していた。
本展では江戸前期から昭和初期にかけての作品を、前後期あわせて約130点展示。美人画の歴史が通観できるとともに、時代とともに変化する流行や着こなし、そして吉祥文様や古来愛された意匠についても触れることができる。
会期:2023年9月1日〜10月22日
会場:太田記念美術館
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-10
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜17:30 ※入館は17:00まで
休館日:月(ただし、9月18日、10月9日は開館)、9月19日、9月26日〜29日(展示替えのため)、10月10日
料金:一般 800円 / 大高生 600円 / 中学生以下無料
古代メキシコが残した遺産と謎が一堂に。特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」(東京国立博物館)
東京・上野の東京国立博物館で、古代メキシコの文明が残した品々を一堂に展示する特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」が9月3日まで開催されている。レポート記事はこちら。
展覧会は「古代メキシコへのいざない」「テオティワカン 神々の都」「マヤ 都市国家の興亡」「アステカ テノチティトランの大神殿」の4章構成。前1500年頃に興ったオルメカ文明、紀元前2世紀から6世紀まで栄えた古代計画都市・テオティワカン、多くの王朝や都市が並立したマヤ文明、13世紀に成立したアステカ文明などの遺産が一堂に介する。
とくにテオティワカンの「太陽のピラミッド」の内部や周囲から発掘された品々は注目だ。頭蓋骨を表現した造形が印象的な、展示室の中央に鎮座する《死のディスク石彫》(300〜550)。地平線に沈んだ(死んだ)夜の太陽を表していると解釈されており、古代メキシコの人々が持っていた死生観や宗教観を象徴的に伝えている。
会期:2023年6月16日〜9月3日
会場:東京国立博物館 平成館
住所:東京都台東区上野公園13-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月
料金:一般 2200円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 / 中学生以下 無料
フィンランド・グラスアートの系譜をたどる。「フィンランド・グラスアート 輝きと彩りのモダンデザイン」(東京都庭園美術館)
1930年代の台頭期から50年代に始まる黄金期、そしていまに至るフィンランド・グラスアートの系譜をたどる展覧会が、東京都庭園美術館で9月3日まで開催されている。レポートはこちら。
1917年にロシアから独立したフィンランドは、新しい国づくりと国民のアイデンティティを取り戻すために様々な側面でモダニズムが推進された。ガラスの分野では、30年代にミラノ・トリエンナーレや万国博覧会などの国際展示会、それらに向けた国内コンペティションが数多く開催され、よりモダンなデザイン性が求められるようになった。そして第二次世界大戦後、若きデザイナーたちが提供した「アートグラス」は国家復興の一翼を担い、50年代に入るとフィンランドのグラスアートは更なる発展を遂げ、国際的な名声を得て世界のデザイン界にその存在を顕示するようになった。
本展では、そんなフィンランド・グラスアートの系譜を8名のデザイナーと作家が手がけた優品約140件で紹介。各時代・各作家たちのガラスへの信条と挑戦、込められたメッセージや想いを垣間見ることができる。
会期:2023年6月24日~9月3日
会場:東京都庭園美術館
住所:東京都港区白金台5-21-9
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00~18:00
休館日:月
料金:一般 1400円 / 大学生(専修・各種専門学校含む) 1120円 / 中学・高校生 700円 / 65歳以上 700円 ※日時指定の事前予約制
スペインはいかに描かれ、いかに受容されてきたのか。「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」(国立西洋美術館)
17世紀初頭から20世紀後半までのスペインに関わる版画作品を展観し、版画というメディアがスペインの文化・美術のイメージ形成に果たした役割を探る展覧会「スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた」が、9月3日で閉幕する。レポートはこちら。
印刷物である版画は、19世紀においてはイメージを遠方に伝達するために重要な役割を果たしたメディアだった。日本における浮世絵のように、スペインの文化や美術も、版画を通じて各地に知られていった。本展は版画というメディアを企画の中心に据えることで、スペインという土地のイメージの変遷を伝えるものだ。また、国立西洋美術館の展覧会としては珍しく、国内美術館の収蔵品のみで構成されている。
会期:2023年7月4日~9月3日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
電話番号:050-5541-8600
開館時間:9:30~17:30(金土~20:00)
休館日:月
料金:一般 1700円 / 大学生 1300円 / 高校生以下無料
「砂糖」を通じて近代の台湾と日本の関係を紐解く。「許家維+張碩尹+鄭先喻 浪のしたにも都のさぶらふぞ」(山口情報芸術センター[YCAM])
山口情報芸術センター[YCAM]で「許家維+張碩尹+鄭先喻 浪のしたにも都のさぶらふぞ」が9月3日まで開催中だ。レポートはこちら。
本展は台湾を拠点に活躍する許家維(シュウ・ジャウェイ)、張碩尹(チャン・ティントン)、鄭先喻(チェン・シェンユゥ)の新作を発表する展覧会。3人は、近年、共同で日本統治時代の台湾における砂糖産業を起点に台湾と日本の歴史的関係や近代化の記憶をたどるプロジェクトを行っている。本展では、このプロジェクトに連なる新作が発表されている。
会期:2023年6月3日~9月3日
会場:山口情報芸術センター[YCAM]
住所:山口県山口市中園町7-7
電話番号:083-901-2222
開館時間:10:00~19:00
休館日:火
料金:無料
「空気のような音」はいかにして生まれたのか。企画展 「吉村弘 風景の音 音の風景」(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)
1970年代初めから環境音楽のパイオニアとして活躍した音楽家・吉村弘(1940-2003)。その没後20年を記念する企画展「吉村弘 風景の音 音の風景」が神奈川県立近代美術館 鎌倉別館で9月3日まで開催されている。レポートはこちら。
本企画展は、「音と出会う」「音をつくる」「音を演じる」「音を眺める」「音を仕掛ける」の5部構成。図や指示書からパフォーマンス、映像、サウンドデザインなど、吉村が遺した多岐に渡る作品と資料群が紹介されている。展示を眺めていくうちに、吉村が表現する時空間が徐々に大きくなるという流れが感じられ、同時に一貫して音を繊細にとらえていたことに気付かされる。
会場では、イベントフライヤーやサウンドインスタレーションなど、200を超える作品と資料をコンパクトな空間でじっくり鑑賞できる。鎌倉の騒めく街から静かな山へと移りゆく「風景と音」も楽しみながら、ぜひ会期中に訪れてほしい。
会期:2023年4月29日~9月3日
会場:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
住所:神奈川県鎌倉市雪ノ下2-8-1
電話:0467-22-5000
開館時間:09:30~17:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:月
料金:一般 700円 / 20歳未満・学生 550円 / 65歳以上 350円 / 高校生 100円
まちの語りに耳をすます「ドキュメンタリーアクティング」。「筒 | tsu-tsu 地上」(space)
十和田市現代美術館のサテライト会場 「space」で開催中の 「筒 | tsu-tsu 地上」が9月3日で閉幕となる。インタビューはこちら。
アーティストの筒 | tsu-tsuは、 「実在の人物を取材し、演じる」という一連の行為を 「ドキュメンタリーアクティング」と名付けて実践している。演じている瞬間だけでなく、取材、役作りや稽古といった、作家が他者になろうとする過程が可能な限り公開される。
本展覧会の会期中、作家は十和田市に滞在し、街とそれぞれの関わりを持つ人物を取材し、演じる。市内の4ヶ所を中心に日課を繰り返し、ドキュメンタリーアクティングの過程を公開している。会場には、展覧会前の十和田でのリサーチをはじめ、日課や公開稽古で発見された演じるための素材が保管され、更新されていく。そして、会期終盤には2ヶ月間の蓄積を作家の身体を用いて出力する追想パフォーマンスが実施される。
会期:2023年7月1日〜9月3日
会場:space(十和田市現代美術館サテライト会場)
住所:青森県十和田市西三番町18-20
開館時間:10:00〜17:00
休館日:月(祝の場合は翌平日)※十和田市現代美術館の休館日に準じる
料金:無料