フィンランドを代表する、建築家でデザイナーのアルヴァ・アアルト(1898〜1976)。その人生と作品を巡るドキュメンタリー映画『アアルト』が、10月13日よりヒューマントラストシネマ有楽町、UPLINK吉祥寺、リーブル梅田、伏見ミリオン座ほか全国で順次公開される。監督はヴィルピ・スータリ。
1898年のフィンランド・クオルタネに生まれたアルヴァ・アアルトは、1916年にはヘルシンキ工科大学(現アアルト大学)で建築を学び、23年にはアアルト建築事務所を設立。「スツール60」や「アアルトベース」のデザインや、「ルイ・カレ邸」の建築など数々の代表作を生み出してきた。35年にはアルヴァの最初の妻であるアイノ・アアルト(1894〜1949)とともに、ふたりのデザインした家具や照明器具などを販売することを目的とした「アルテック(ARTEK)」を創業。ほかにも200を超える建築を設計するなど、生涯にわたって名作を生み出し続けた。
そんな数々の名品が誕生した背景には、アイノの存在が強く影響している。
アイノ・アアルトは1894年にヘルシンキで生まれた。アルヴァより3年早い1913年にヘルシンキ工科大学で学び、24年にアアルト建築事務所で働き始めた。32年には「ボルゲブリック/ アイノ・アアルト グラス」でその名が広く知られるようになり、49年に亡くなるまで、アルヴァの公私ともにパートナーであった。
アルヴァの生誕から125年の年に公開される本作では、スケッチから設計図面、現在も残る建築などの膨大な資料からアアルト夫妻による仕事を紹介するとともに、アルヴァとアイノの手紙や、同世代のデザイナーたちとの交流の記録から、プライベートな側面にもフォーカス。当時の時代背景とともに、アルヴァの生涯を様々な視点から描く内容となっている。
世界中からその名が知られているアルヴァ・アアルトはいったいどのような人物であったのか。ひとりの人間の人生を、ドキュメンタリーを通じて体感してほしい。