アーティストと鑑賞者がともにつくる展覧会。「あなたのアートを誰に見せますか?」が東京藝術大学大学美術館陳列館で開催へ

社会における様々な問題に向きあうアーティストの作品を通じて、孤独、身体とセクシャリティ、人間と自然の関係、他者との協働や連帯などについて考える展覧会「あなたのアートを誰に見せますか?」が東京藝術大学大学美術館陳列館で開催される。

メラニー・ボナーヨ When the body says Yes Courtesy of the artist and AKINCI

 今日の社会における様々な問題に向き合うアーティストの作品を通じて、孤独、身体とセクシャリティ、人間と自然の関係、他者との協働や連帯などについて考える展覧会「あなたのアートを誰に見せますか?」が東京・上野の東京藝術大学大学美術館陳列館で開催される。会期は8月8日〜27日。キュレーターは荒木夏実(東京藝術大学准教授)。参加作家は青山悟(共同企画者、アーティスト)、アンドレア・バウアーズ&スザンヌ・レイシー、メラニー・ボナーヨ、小林正人、リー・ムユン、岡田夏旺、パク・サンヒョン(本展コーディネーター)、海野林太郎。

メラニー・ボナーヨ When the body says Yes Photo by Peter Tijhuis, Courtesy of the artist and AKINCI

 本展では、アーティストの作品を通じて今日的な様々な問題に向き合うとともに、鑑賞者あるいは「オーディエンス」の存在に注目。アーティストとそれを見る人との相互関係と鑑賞体験の新たな可能性を探るものとなる。

 例えば、参加作家でありアクティビストでもあるスザンヌ・レイシーは、「自分の作品を美術館で見せる際に、それを見に来る人だけでなく、経済的・精神的制約などのために美術館に来ることのできない人のことも想像する」と語っている。

アンドレア・バウアーズ&スザンヌ・レイシー この地球:私にとっての彼女の存在 Courtesy of Andrea Bowers and Suzanne Lacy

 注目すべきは、アーティストが提示する多様な視点を紹介しつつ、オーディエンスの意見も展示のなかで視覚化される点だ。アーティストと鑑賞者をつなぐ試みとして、アーティストへの問い(誰に作品を見てもらいたいか、制作の時に考えたことは何か、見る人にどんなメッセージや質問を送りたいか)と答えを会場に掲示するとともに、鑑賞者の意見(どの作品が好きか、そのアーティストに伝えたいことは何か、誰にこの展覧会を紹介したいか)を書いてもらうシートが用意。それを壁に貼り出して後から来た人が見ることができる仕組みをつくることで、よりオープンな鑑賞体験を創出するという。

 さらに、普段美術館にアクセスしにくい鑑賞者にも声がけを行い、作品について語り合う機会を設けたり、アンドレア・バウアーズ&スザンヌ・レイシー、メラニー・ボナーヨ、青山悟らが様々な参加者と行ってきた協働制作作品についても展示。「多様なオーディエンスとの対話」を重視した展覧会となる。

 ほかにも、本展関連イベントであるアーティスト・トークも実施予定。展示に足を運ぶ際は、こちらにも参加してみて自身の理解を深めるのもよいだろう。

青山悟 N氏の吸い殻
海野林太郎 マヌケだね 楽しい夜さ 好きだよ Photo by Kota Kato
岡田夏旺 Clean/ing people
小林正人 画家の肖像 Copyright the artist, Courtesy of ShugoArts, Photo by Muto Shige
リー・ムユン モノローグ
パク・サンヒョン 粗末に構成された彫刻-16時31分(参考作品)

編集部

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