ポップ・アートの旗手として、アメリカの大量消費社会の光と影を描いたアンディ・ウォーホル(1928〜1987)。いまなお世界的な人気を誇るこのアーティストの大回顧展「アンディ・ウォーホル・キョウト / ANDY WARHOL KYOTO」展が、今年9月17日より京都市京セラ美術館 新館「東山キューブ」で開催される。
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ウォーホルは1956年の世界旅行中に初めて来日し、京都を訪れている。この展覧会では、そんな京都とウォーホルの関係に目を向け、そのゆかりを示す貴重なスケッチなどを展示し、若き日のアンディ・ウォーホルの心をとらえた京都の姿に思いを馳せるもの。
作品はすべてアメリカ・ピッツバーグのアンディ・ウォーホル美術館の所蔵作品のみで構成されるという、これまでにない展覧会となっており、絵画・彫刻など約200点および映像15点が展示。そのうち、門外不出の《三つのマリリン》を含む100点以上が日本初公開作品となる。巡回なしの単館開催というのも大きな注目ポイントだ。
会場は大きく5つの章に分かれており、「ピッツバーグからポップ前夜のニューヨークへ」「ウォーホルと日本そして京都」「『ポップ・アーティスト』ウォーホルの誕生」「儚さと永遠」「光と影」の各章で構成。
「ピッツバーグからポップ前夜のニューヨークへ」では、1950年代初頭から60年代にかけて、商業イラストレーターとして一躍評判となった時期の作品が紹介。
「ウォーホルと日本そして京都」では、作品以外にも着物やポストカードなど、ウォーホルが私的に収集した物品のなかから、日本にゆかりのある品々も展示。京都滞在中のドローイングや写真のほか、地図やお土産などの資料も含まれるという。
「『ポップ・アーティスト』ウォーホルの誕生」では、当時の大量消費社会を反映し、消費者の関心を引くために広告と同様の手法を取り込んだシルクスクリーンの作品を展覧。誰もが一度は目にしたことがあるであろう「キャンベル・スープ缶」や「花」もここに含まれる。
「儚さと永遠」では、有名人を題材とする一大肖像画シリーズが紹介。アンディ・ウォーホル美術館の門外不出の名作《三つのマリリン》には大注目だ。
最終章の「光と影」は、ウォーホルの複雑な生涯をめぐる諸相を探るもの。死と闇に焦点を当て、自殺、自動車事故、事故現場を写した雑誌や新聞の画像を使った「死と惨事」シリーズとともに、「最後の晩餐」シリーズなど晩年の作品を通して、ウォーホルの複雑な一面を明らかにするという。
日本ではかつてない規模となる本展について、アンディ・ウォーホル美術館のパトリック・ムーア館長は 「京都は、ウォーホルを魅了し、彼にたくさんのインスピレーションを与えた街です。彼が大好きだった日本で再び展覧会を開催できることを光栄に思っています」とのコメントを発表。
また本展キュレーションを手がけるアンディ・ウォーホル美術館のチーフ・キュレーター、ホセ・カルロス・ディアズは次のように意気込みを寄せている。
「本展は、アンディ・ウォーホルの多彩な人生とキャリアを紹介するだけでなく、このポップ・アーティストを新しい世代のファンに知っていただく機会にもなります。またこの展覧会が、京都をはじめ、日本中の本展をご覧になる方々にインスピレーションを与えてくれることを願っています。驚かれる方も多いかもしれませんが、ウォーホルは1956年に世界一周旅行をした際に、旅の中で最も長い期間となった2週間近くを日本で過ごしました。今回の展覧会の第2章では、この旅に焦点を当てるとともに、彼の日本に対する関心とその影響を示す、貴重なスケッチ、版画、写真、資料なども展示します」。