2020.10.12

コロナ禍に「運動体としての展覧会」を提示する。多摩美術大学の家村ゼミ展「金氏徹平のグッドベンチレーション」をチェック

2017年から様々なアーティストとともに、新たな展覧会やキュレーションのあり方を模索してきた多摩美術大学の家村珠代ゼミ。コロナ禍の今年、4回目となる展覧会には金氏徹平を迎える。会期は10月14日〜28日。

設営の様子
前へ
次へ

 多摩美術大学美術学部芸術学科教授・家村珠代が担当する「展覧会設計ゼミ」では、2017年以来「家村ゼミ展」として毎年展覧会を開催。展覧会の完成形をあらかじめ定めず、作家や学生、教員、その周辺を巻き込みながら、過程そのものを運動体として提示することを試みてきた。

 コロナ禍の今年は、大学でも授業や行事の再考が求められるなか、様々な方法を模索しつつ展覧会を開催。今回は金氏徹平を迎え、同大のアートテークギャラリーで「金氏徹平のグッドベンチレーション - 360°を超えて-」を開催する。会期は10月14日~28日。

設営の様子

 京都在住の金氏とスタッフの打ち合わせはすべてZoomで実施。金氏の指示書によって、京都から郵送された金物を学生たちが粉体塗装をする、あるいは作品に使用する「透明なもの」を長期にわたって収集するなど、協働作業が作品の一部となる。

 会場では、ガラス面が多い展示空間を生かし、入れ子状態のアクリル箱を用いた金氏の「Model of Something」シリーズの建築化に挑む。また、通常閉鎖している様々な裏方の空間や搬入口を開放し、強力な送風機によって展示室内の強制排気を実施。コロナ禍のなかでの「グッドベンチレーション」が、作品のコンセプトにも積極的に反映される。

 また会期中には、金氏徹平、成相肇、中尾拓哉、ゼミ展スタッフが参加するリモートのトークセッションをYouTubeで配信。Zoomの形式を利用し、金氏の演劇との関わりも垣間見えるようなトークを試みる。

設営の様子