建物の老朽化に伴い2021年1月での閉館を予定している原美術館。その最後の展覧会である「光―呼吸 時をすくう5人」展が、9月19日より開催される。
新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るうなか、日々のささやかな出来事や感情を記憶する間もなく2020年が過ぎ去ってしまう。こうした慌ただしさにおいて、視界から外れるものに着目して心に留め置くことはできないか、という想いから本展は企画された。
本展では、同館のコレクションから昨年逝去した佐藤雅晴のアニメーションと、18年に同館で個展を行ったリー・キットのインスタレーションに加え、今井智己、城戸保、佐藤時啓による写真などの作品が展示される。
先行きが不透明ななかでも自身の立ち位置から社会を省察し、見る人の心に深く語りかける5人のアーティスト。彼らの作品を通し、意識されぬまま過ぎ去る時間や、見過ごされてしまいそうな光景を掬う・救うことで、2020年の出来事を心に刻む。
21年1月11日の会期終了をもって閉館する原美術館。その最後の展覧会を記憶に刻みたい。