国内外で精力的に作品発表を行ってきた佐藤雅晴が、3月9日に死去したことが所属ギャラリー「KEN NAKAHASHI」によって明らかにされた。享年45歳。14日に家族葬が執り行われたという。
佐藤は1973年大分県生まれ。96年に東京藝術大学美術学部油画専攻を卒業後、99年に同大学大学院修士課程を修了。2000年から02年の2年間、ドイツの国立デュッセルドルフクンストアカデミーにガストシュラー(研究生)として在籍した。
帰国後、09年には「第12回岡本太郎現代芸術賞」で特別賞を受賞。近年では、原美術館での個展「ハラドキュメンツ10 佐藤雅晴ー東京尾行」(2016)のほか、シドニーとオーストラリアでも個展「TOKYO TRACE 2」(2017)を開催した。
佐藤の代表作は、《Calling》《ダテマキ》《東京尾行》」などの映像作品。日常風景をビデオカメラで撮影後、パソコン上でペンツールを用いて慎重にトレースし、さらにそのデータを「ロトスコープ」技法でアニメーション化するというもの。現実と非現実が交錯したような作品で高い評価を受けてきた。
佐藤は、2010年日本本帰国の年に病に倒れ、それ以来入退院を繰り返してきた。18年9月に担当医師から余命宣告を受けてからは、癌との闘病生活を続けた。病状の進行に伴う視力の低下などにより、映像作品の制作が困難な状況でも制作の手は止めず、絵画作品を生み出した。KEN NAKAHASHIで個展「死神先生」を2月15日より開催。加えてトーキョーアーツアンドスペースの「霞はじめてたなびく」(〜3月24日)と森美術館の「六本木クロッシング2019」(~5月26日)にも参加するなかでの逝去となった。