1979年に開館して以来、40年にわたって日本の現代美術シーンを牽引してきた原美術館が、2021年1月で閉館する。この閉館に伴い、同館内に常設展示されている奈良美智の《My Drawing Room》は、群馬のハラ ミュージアム アークへ移転することとなった。
原美術館は、原俊夫(原美術館を運営するアルカンシエール美術財団理事長)の祖父である実業家・原邦造の私邸を転用した美術館。原邸の竣工は1938年で、2003年にはDOCOMOMO(モダン・ムーブメントに関わる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織)にも認定されるなど、建築としても高い評価を受けている。
しかしながら、建物の老朽化に伴い、20年末に閉館を迎えることが決まっており、館内には複数の常設展示があり、その行方に注目が集まっている。
移設される《My Drawing Room》は、04年の「奈良美智―From the Depth of My Drawer」展と同時期に制作されたもの。当時、奈良はこの場所で、同展準備の際に5日間続けて制作を行った。
室内には、ワインの空瓶や、描きかけのドローイング、色鉛筆、お気に入りのCDなどといったあらゆる滞在の痕跡が残されたままとなっており、アトリエをイメージした常設展示作品として、原美術館でも人気のスポットだ。
同作移設先のハラ ミュージアム アークは、原美術館の別館として1988年に開館した美術館で、磯崎新による設計。原美術館閉館後には「原美術館ARC」として運営されていくことが決まっている。ハラ ミュージアム アークには、ジャン=ミシェル・オトニエルをはじめとする常設展示があり、奈良の作品がどこに設置されるのか、今後の発表が待たれる。