明治時代以降、日本画の重要なジャンルとして多くの画家が取り組んだ「美人画」。東西で活躍した画家によるその数々を紹介する「美人のすべて」展が、京都の福田美術館で開催される。会期は1月29日~3月8日。
京都を代表する日本画家・上村松園(1875~1949)は、女性が画家として生きることが困難だった時代に美人画で独自の境地を切り開き、1948年には女性初の文化勲章を受章。本展では、理想的な「美」を追求した松園作品を中心に展示する。
なかでも注目したいのは、松園作品のなかでも異色を放つ《雪女》の原画。同作は近松門左衛門による浄瑠璃「雪女五枚羽子板(ゆきおんなごまいはごいた)」の一場面を題材とし、シルエットと太刀の描写だけで女性の恨みの念を表現したもの。木版画としては知られていたが、原画は本邦初公開となる。
そのほかにも本展では、鏑木清方や伊東深水など東西で活躍した画家による美人画も展示。また、近年注目を集める木島櫻谷(1877~1938)の《婦女図屏風》は、長らく所在が確認されていなかった大作だ。動物画に定評のある画家が描いた珍しい美人画を、この機会に堪能したい。