2019.12.13

伊藤若冲最初期の作品《蕪に双鶏図》を初公開。福田美術館で 「若冲誕生~葛藤の向こうがわ~」が開催へ

今年10月、京都・嵐山に誕生した福田美術館で「若冲誕生~葛藤の向こうがわ~」展が開催される。本展では新たに発見された最初期の彩色画《蕪に双鶏図》など若冲の秘蔵作品のほか、同時代の画家たちによる優品を公開する。会期は2020年3月28日~6月21日(展示替えあり)。

伊藤若冲 蕪に双鶏図 江戸時代
前へ
次へ

 今年10月、京都・嵐山に誕生した福田美術館。琳派から円山四条派、京都画壇の作品を中心とした豊かなコレクションを誇る同館で、「若冲誕生~葛藤の向こうがわ~」展が開催される。会期は2020年3月28日~6月21日(展示替えあり)。

 伊藤若冲(1716~1800)は京都錦小路の青物問屋「枡屋」の長男として生まれ、23歳で亡くなった父に代わり家業を継ぐ。30代では家業のかたわら絵を描き、仕事と制作のあいだで葛藤を抱いたが、大典禅師をはじめとする禅僧や支援者たちの援助もあって40歳で絵の道に専念することとなった。

 伊藤若冲 仔犬図

 若冲は隠居後の42歳頃からおよそ10年かけ、30幅からなる極彩色の代表作《動植綵絵》を制作。同時期に多くの水墨画を描き、その後は版画の技法による《乗興舟》を手がけるなど、85歳で亡くなるまで新しい技法や表現を探求し続けた。

 本展で一番の見どころとなるのは、新たに発見された伊藤若冲最初期の彩色画《蕪に双鶏図》。これまでは若冲が「景和」と名乗っていた時期に制作された《雪中雄鶏図》(細見美術館蔵)が最初期のものとされていたが、《蕪に双鶏図》はそれ以前に制作された可能性があるとして注目を集めている。

 伊藤若冲 群鶏図押絵貼屏風(左隻)
伊藤若冲 群鶏図押絵貼屏風(右隻)

 本展では、若冲作品約40点に加え、曾我蕭白円山応挙など個性あふれる同時代の画家たちの作品も展示。また若冲に影響を与えた禅僧や画家たちを取り上げ、若冲作品の魅力と背景に迫る。若冲の秘蔵作品に加えて、18世紀京都画壇の秀作を紹介する本展を、新たな美術館で楽しみたい。

 曾我蕭白 寒山拾得図
 宋紫石 蓮・菊・牡丹図