あいちトリエンナーレ2019から「リボーン」まで、今週末に見たい3つの展覧会

今週スタートした展覧会と8月5日までに終了する展覧会のなかから、とくに注目したい3つをピックアップしてお届けする。この機会をお見逃しなく。

あいちトリエンナーレ2019より、ジェームズ・ブライドル《ドローンの影》(2019)

「情の時代」のアートとは? 「あいちトリエンナーレ2019」(愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道・円頓寺、豊田市美術館、豊田市駅周辺)

ウーゴ・ロンディノーネ 孤独のボキャブラリー 2014-16

 ジャーナリスト・津田大介が芸術監督を務める「あいちトリエンナーレ2019」がついに開幕。参加作家の男女比を半々としたことでも話題を集めた今回は、「情の時代」をテーマに開催される。会場は愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道・円頓寺、そして豊田市美術館・豊田市駅周辺の4つ。

 渦中の「表現の不自由展・その後」のみならず、現代の「情報」の状況を示すエキソニモ《The kiss》や、「感情」への想像を喚起させるウーゴ・ロンディーネの《孤独のボキャブラリー》など、作品に様々な「情」のあり方を垣間見ることができる本芸術祭。鑑賞者に涙を流させる仕組みをつくり出し難民の存在を提示するタニア・ブルゲラ《10,150051》や、「家族」をテーマにハーフやダブル、ミックスと呼ばれる人々をとらえた田中功起《抽象・家族》といった作品も必見だ。

 なお、これら美術展に加えて小泉明郎や高山明(Port B)などが参加するパフォーミング・アーツ、サカナクションやユザーンによる音楽プログラム、映像プログラム、そしてラーニング・プログラムも展開。気になるものは事前のチェックをおすすめしたい。

会期:2019年8月1日〜10月14日
会場:愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、四間道・円頓寺、豊田市美術館、豊田市駅周辺
開館時間:会場によって異なる
休館日:月(ただし祝祭日を除く)、9月17日(名古屋市美術館のみ)
1DAYパス料金:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 600円
フリーパス料金:一般 3000円 / 大学生 2300円 / 高校生 1100円
 

自然のなかで感じる「いのちのてざわり」。「Reborn-Art Festival 2019」(牡鹿半島、網地島、石巻市街地、松島湾)

EVERYDAY HOLIDAY SQUAD MoWA 2019

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県・石巻地域を舞台に、アート・音楽・食の3つの柱を軸として2017年にスタートした「Reborn-Art Festival」。今年は7組によるマルチ・キュレーター制が採用され、石巻市街と牡鹿半島全体を使って作品が展開される。

 なかでも注目したいのは、写真家・志賀理江子による巨大インスタレーション《Post humanism stress disorder》、洞窟で展開される名和晃平や村瀬恭子の作品、そしてストリート・アートを軸に活動するSIDE COREによる防潮堤周辺での試みなど、自然や土地の特性を活かした作品の数々だ。

 美術館・博物館ではなく、人の手が加えられていない自然のなかで多くの作品が展示される今年の「Reborn-Art Festival」。力強い環境と作品の双方からは、実行委員長の小林武史が掲げるテーマ「いのちのてざわり」を感じることができるだろう。

会期:2019年8月3日〜9月29日 ※網地島エリアは8月20日より
会場:牡鹿半島、網地島、石巻市街地、松島湾(石巻市、塩竈市、東松島市、松島町、女川町)
開館時間:10:00〜16:00(石巻駅前・市街地、土日祝および8月13〜16日 〜17:00) ※最終受付は30分前まで、施設・作品によって異なる可能性あり
パスポート料金:一般 3000円 / 高校・専門学校・大学生 2500円 / 中学生以下無料
 

ウィーン世紀末文化を紐解く。「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」(国立新美術館

展示風景より、右はエゴン・シーレ《自画像》(1911、ウィーン・ミュージアム蔵)

 グスタフ・クリムトとエゴン・シーレは、ともにウィーン世紀末を代表する芸術家。彼らの生きた時代に焦点を当てる大規模展「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」が、国立新美術館でまもなく閉幕する。

 19世紀末のウィーンは前述のふたりのみならず、オスカー・ココシュカやオットー・ヴァーグナーなどのアーティストも活躍を見せたモダン・アートとモダン・デザインの黄金期。本展は、このウィーン世紀末文化を「近代化(モダニズム)への過程」という視点から紐解く新たな試みだ。

 本展では、初期の代表作《寓話》をはじめとするクリムト作品47点のほか、「ウィーン分離派」の関連資料も展示。また、クリムトから影響を受けて独自の世界を切り開いたシーレによる《自画像》など22点も公開。加えて、当時の時代背景を反映する家具や食器、ドレスなどの資料も見ることができる。豊かなウィーン世紀末文化を堪能できるこの機会をお見逃しなく。

会期:2019年4月24日〜8月5日
会場:国立新美術館 企画展示室1E
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:03-5777-8600
休館日:火
料金:一般 1600円 / 大学生 1200円 / 高校生 800円 /中学生以下無料

編集部

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