EXHIBITIONS

日本・オーストリア外交樹立150周年記念

ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道

グスタフ・クリムト エミーリエ・フレーゲの肖像 1902 ウィーン・ミュージアム蔵 © Wien Museum / Foto Peter Kainz

グスタフ・クリムト パラス・アテナ 1898 ウィーン・ミュージアム蔵 © Wien Museum / Foto Peter Kainz

エゴン・シーレ 自画像 1911 ウィーン・ミュージアム蔵 © Wien Museum / Foto Peter Kainz

マクシミリアン・クルツヴァイル 黄色いドレスの女性(画家の妻) 1899 ウィーン・ミュージアム蔵 © Wien Museum / Foto Peter Kainz

グスタフ・クリムト 愛(『アレゴリー:新連作』のための原画 No.46) 1895 ウィーン・ミュージアム蔵 © Wien Museum / Foto Peter Kainz

マルティン・ファン・メイテンス 幼いヨーゼフ2世を伴ったマリア・テレジア 1744 ウィーン・ミュージアム蔵 ©Wien Museum / Foto Peter Kainz

エミーリエ・フレーゲのドレス(複製、1909年製作のドレスに基づく) ウィーン・ミュージアム蔵 © Wien Museum / Foto Peter Kainz

ヨーゼフ・ホフマン ブローチ 製作=ウィーン工房 1908-10 International Friends of Wien Museum, A.P. Collection © Asenbaum Photo Archive

 19世紀末から20世紀初頭のウィーンでは、絵画や建築、ファッション、デザインなどの領域を超えた新しい芸術を求めて、独自の装飾性豊かな文化が開花。今日においてこの時代の動向は「世紀末芸術」と呼ばれ、画家のグスタフ・クリムトやエゴン・シーレ、建築家のオットー・ヴァーグナーやアドルフ・ロースなど各界を代表する芸術家たちが登場した。その影響は美術の分野にとどまらず、音楽や精神医学などにもおよび、ウィーンの文化は黄金時代を迎えた。

 本展は、ウィーンの世紀末文化を「近代化(モダニズム)への過程」という視点からひも解く新しい試み。18世紀中頃にまでさかのぼり、歴史背景を示す当時の写真や資料、本展のために特別制作したウィーン市の都市変遷映像を交えながら、ウィーン世紀末文化に至るまでの歩みを網羅的に紹介する。

 なかでも見どころとなるのはクリムト、シーレ、ココシュカらウィーン世紀末の巨匠が残した傑作の数々。クリムトが最愛の女性を描いた《エミーリエ・フレーゲの肖像》をはじめとする油彩画、素描、ポスターなどのグラフィックを通して、モダニズムの黄金時代を築いた作家たちに迫る。

 出品数は、貴重なウィーン世紀末のコレクションを有するウィーン・ミュージアムと個人所蔵を含め、東京展は約400点、大阪展は約330点。ウィーン分離派やモダニズム建築のデザイン画、模型、ウィーン工房が手がけたインテリア、さらにモーツァルト、シューベルト、シェーンベルクらウィーンが生んだ音楽家や、ハプスブルク家にまつわる品々も展示される。

 展示構成は、「啓蒙主義時代のウィーン」「ビーダーマイアー時代のウィーン」「リング通りとウィーン」「1900年―世紀末のウィーン」の4章。18世紀の女帝マリア・テレジアの時代に始まった啓蒙思想がビーダーマイアー時代に発展し、19世紀末の豪華絢爛な芸術運動へとつながる軌跡をたどる。