大山エンリコイサムは1983年東京生まれ、2012年からニューヨークを拠点に活動するアーティスト。都市の壁などに名前を記すエアロゾル・ライティング(グラフィティ)から文字を取り除き、線の動きのみを反復・拡張させた「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」をモチーフに制作を行ってきた。
昨年は個展「Black」(Takuro Someya Contemporary Art)を開催したほか、現在ポーラ美術館でも個展「Kairosphere」が開催中(7月28日まで)と、国内でも積極的に活動している大山。次は山梨の中村キース・ヘリング美術館を舞台に、個展「VIRAL」を開催する。
展覧会タイトルの「VIRAL(ヴァイラル)」は、「ウイルス性の」という意味の形容詞。大山はこの言葉について、「感染」というネガティブな含意があるいっぽう、SNSでは「拡散」「急速」といった意味を持ち、ポジティブなニュアンスを帯びていると語る。
そして自らが用いるQTSも、様々なメディアに展開できる「ヴァイラル」なアイコンだと言う大山。本展では、17年にニューヨークで制作したライブペインティング作品に、スタジオでQTSを加筆した新作の《FFIGURATI #184》を発表する。
また、会場の回廊では、キース・ヘリングによる壁画制作の記録写真(東京・神宮前、1983)のコラージュの上に、大山による長さ14メートルにおよぶ巨大な壁画作品が出現。加えて会期初日には、ライブペインティングも実施される。