「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの」が東京国立近代美術館で7月に開催。未発表の制作ノートや絵コンテも

『平成狸合戦ぽんぽこ』『かぐや姫の物語』などのスタジオジブリの映画作品や『アルプスの少女ハイジ』をはじめとするテレビシリーズを手がけ、2018年に逝去したアニメーション監督・高畑勲。その活動を総覧する展覧会「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの Takahata Isao: A Legend in Japanese Animation」が、東京国立近代美術館で開催される。会期は7月2日〜10月6日。

 2018年4月に惜しまれながらこの世を去ったアニメーション監督・高畑勲。その活動を総覧する展覧会「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの」が、東京国立近代美術館で開催される。

 高畑は1935年三重県生まれ。59年に東京大学仏文科を卒業後、東映動画(現・東映アニメーション)に入社。そして68年、劇場用長編初演出となる『太陽の王子 ホルスの大冒険』を完成させる。

 その後東映動画を去った高畑は『アルプスの少女ハイジ』(1974)、『母をたずねて三千里』(1976)、『赤毛のアン』(1979)と続く一連のテレビシリーズを監督。毎週1話を完成させるという時間的な制約のなかで工夫を凝らし、日常生活を丹念に描写することで生き生きとした人間ドラマをつくり上げた。

 80年代には作品の舞台を日本に移し、風土や庶民生活のリアリティーを表現した高畑。85年にはスタジオジブリの設立に参画し、『火垂るの墓』(1988)、『おもひでぽろぽろ』(1991)など、日本人の戦中・戦後の歴史を再考するスケールの大きな作品を手がけた。

 90年代に入ると、高畑は絵巻物研究に没頭し、新しいアニメーションの表現方法を模索。遺作となった『かぐや姫の物語』(2013)ではデジタル技術を駆使して手描きの線を生かした水彩画風の描法に挑み、従来のセル画とは一線を画す表現上の革新を達成した。

 本展は、常に今日的なテーマを模索し、新しい表現方法を徹底して追求した高畑の創造の軌跡をたどるもの。絵を描かない高畑の「演出」というポイントに注目し、未発表の制作ノートや絵コンテなどの資料を公開するほか、他のクリエイターたちとの交流や共同制作の過程を明らかにする。

編集部

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