2019.1.21

鮮やかな原画で振り返るマンガ家・竹宮惠子の活動。画業50年を記念する展覧会が川崎市市民ミュージアムに巡回

代表作『風と木の詩』をはじめ、『地球(テラ)へ…』『天馬の血族』などで知られるマンガ家・竹宮惠子。その画業50年を記念する展覧会「竹宮惠子 カレイドスコープ 50th Anniversary」が、神奈川・川崎市市民ミュージアムに巡回する。会期は3月2日〜4月14日。

『イズァローン伝説』より「樹海の奥」 ©竹宮惠子
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 『風と木の詩』をはじめ、『地球(テラ)へ…』『イズァローン伝説』などで知られるマンガ家・竹宮惠子。その画業50年を記念した展覧会「竹宮惠子 カレイドスコープ 50th Anniversary」が、川崎市市民ミュージアムで開催される。

 竹宮は1967年、マンガ雑誌『COM』に投稿作品「ここのつの友情」が掲載され、その後の68年にプロデビュー。本展では、のべ180作品に及ぶ50年の足跡を、設定資料やカラーイラスト、貴重な肉筆原稿など約150点でたどる。

『風と木の詩』より「午睡のKISS」  ©竹宮惠子

 一番の見どころは、76年に開始した『風と木の詩』連載前の設定資料だ。70年に着想を得つつも、少年たちの同性愛、人種差別などの衝撃的なテーマにより編集者たちに掲載を拒まれ続けた同作。本展では、竹宮の7年越しの苦労と執念が立ち上がってくるスケッチなど、同作にまつわる貴重な資料を初公開する。

『風と木の詩』クロッキーノート  ©竹宮惠子

 また今回は、自身がその研究開発に携わったプロジェクト「原画´(ダッシュ)」のカラーイラストも一堂に会する。「原画´(ダッシュ)」とはコンピューター上にマンガ原稿を取り込み、より原画に色合いや質感を再現して印刷した精巧な複製原画のこと。退色のリスクが高い原画を保存し、広く公開することで後進を育てたいという竹宮の思いから開発されたものだ。

『地球へ…』より「星のうまれるところ」  ©竹宮惠子

 そのほかにも本展では、サイン会や、恩地日出夫監督の劇場版アニメーション『地球へ…』の35ミリフィルム上映などが開催。マンガ界を革新・リードし、描き続けてきた竹宮の世界を楽しみたい。

『ファラオの墓』より「灼熱の祈り」  ©竹宮惠子