1977年、絵本作家・いわさきちひろの自宅兼アトリエ跡に、絵本の専門美術館として開館した「いわさきちひろ絵本美術館」(現「ちひろ美術館・東京」)。今年、開館40周年を迎える同館で、高畑勲と奈良美智による2つの企画展「高畑勲がつくるちひろ展 ようこそ!ちひろの絵のなかへ」と「奈良美智がつくる 茂田井武展 夢の旅人」が同時開催される。
「高畑勲がつくるちひろ展 ようこそ!ちひろの絵のなかへ」では、創作のうえでちひろの作品に深い洞察を得てきたという高畑が、彼女の絵の世界を体感することのできる空間を演出。絵本の原画を高畑の言葉とともに展示するほか、高精細に拡大された絵の前で絵のなかに入ったかのような写真を撮影することもできる。
「奈良美智がつくる 茂田井武展 夢の旅人」では、戦後に絵本・絵雑誌などの仕事で活躍し、後に多くの画家たちにも影響を与えた茂田井武の作品を紹介。奈良が自身の視点で、今も「新しい」と感じる作品を選び、展示を構成する。
会期中には、絵本作家の広松由希子が茂田井の絵について語る講演会や、ちひろが得意とした水彩技法の「にじみ」を用いて缶バッジを作成するワークショップも開催される。