天明屋尚(てんみょうや・ひさし)は1966年生まれ。レコード会社のアートディレクターを経た後、現代美術家としての活動を始める。主な参加展覧会に「天明屋尚と暁斎展」(河鍋暁斎記念美術館、2002)、「池田学と天明屋尚展」(チェゼン美術館、アメリカ、2013)、「形質転換」(ミヅマアートギャラリー、2017)などがある。
日本画と現代風俗の要素を取り入れた自らのスタイルを「ネオ日本画」と標榜し、華美にして覇格な美の系譜を「BASARA」として提唱した天明屋。これまで日本美術のエッセンスを引用しながら、戦国時代のバサラ大名や江戸時代の傾奇者、現代のストリート文化などを粋で勇猛な武者気質として取り上げ、制作してきた。
今回の個展でモチーフとなるのは「国津神」。国津神は、天降った神々である天津神と対置される、古来から日本の地に土着する荒ぶる神々のこと。
本展では、天明屋が創造した風神、雷神、雪神、雨神、虹神、海神、山神、火神の8つの神々を鬼の姿で描いた作品を発表。また、神社の御神体に着想を得た立体作品も展示され、神社仏閣のような神聖な空間が会場に出現する。
ポップでスケールの大きな新作群が並ぶ本展。鮮やかに描かれた神々の姿からは、神と芸術をめぐる思索、西洋と東洋における芸術観の違いなど、様々な問いが浮かび上がってくることだろう。