現在、原美術館で「ソフィ カル ─ 限局性激痛」を開催中のソフィ・カル。1999年に同館で開かれた個展をフルスケールで再現した展覧会では、代表作の《限局性激痛》を見ることができる。そして今回同展にあわせ、ギャラリー小柳で個展「なぜなら」が開催される。
本展では、国内初公開となる「Parce que」シリーズから新作9点を展示。同シリーズは、額装された写真の全面に「Parce que(なぜなら)」から始まるテキストを刺繍した布が垂らされ、それをめくると写真が現れる構造となっている。
たとえば《Sans enfants, sein(子供なし、胸)》と題された作品では、「なぜなら、ネット上で私の説明が『ソフィ・カル、あえて子供をもたないアーティスト』とたった7 語でかたづけられてるのを見つけたから。ほんのお遊びとして、この子がたまたまここにいたから。」という言葉が刺繍された布の背後に、カルが子どもに授乳しているように見える写真が現れる。
写真を見る前に「なぜなら」を知らされることによって、イメージだけでは見えてこない独自の視点や心境を垣間見ることができる本展。写真とテキストを融合させたカルの代表的な手法で、虚実が判然としない小さな物語に触れてみたい。
なお、六本木・ペロタン東京でもカルの個展「My Mother, My Cat, My Father, in That Order.(私の母、私の猫、私の父、この順に。)」が同時開催される。こちらの会期は2月2日~3月10日。