現在、東京・品川の原美術館で個展「限局性激痛」を20年ぶりにフルスケール展示しているソフィ・カル。2月2日より、そのギャラリー個展となる「Ma mère, mon chat, mon père, dans cet ordre(私の母、私の猫、私の父、この順に)」が六本木のペロタン東京でスタートする。
物語と現実、公と私の間を行き来しながら、言葉や写真、パフォーマンス、映像を混ぜ合わせた作品を発表してきたカル。ストーリーを支える要素であるテキスト、写真、オブジェを介して自らを物語るという手法は高く評価され、2007年には第52回ヴェネチア・ビエンナーレにフランス館代表作家として参加。これまで日本を含む世界各国の美術館で個展を行ってきたほか、19年はサンティアゴ現代美術館(チリ)、ヴィンタートゥール写真美術館(スイス)など複数の美術館での個展が予定されている。
本展は、ペロタン東京では初のソフィ・カル個展。会場にはシリーズ「Autobiographies(自伝)」より近年死去したソフィ・カルの母親、父親、猫にまつわる近作が並ぶという。また、フランスを代表する出版社・ガリマールが刊行する探偵小説のタイトルを出発点として「死」や「死別」と向き合った《Série Noire(セリ・ノワール)》(2017)も展示される。
これに加え、本展ではシリーズ「Souris Calle(スーリー・カル)」が日本で初めて公開される。このプロジェクトでカルは40人の音楽家や歌手を呼び集め、各人が2014年に死去したカルの愛猫・スーリーに敬意を表した作品を作曲した。この楽曲のコンピレーションは3枚の33RPMレコードとなり、オブジェとして展示スペースに掛けられるとともに、特設スペースでの視聴が可能となる。
なお本展と並行し、銀座のギャラリー小柳でも個展「Parce que(なぜなら)」が開催(2月2日〜3月16日)。
加えて渋谷スクランブル交差点の4面街頭ビジョンでは、ソフィ・カルの代表的映像作品《Voir La Mer (海をみる)》が2月3日〜9日の毎0時〜1時にかけて放映。同作は、海に囲まれたイスタンブールに住みながら一度も海を見たことのない人々が海を初めて見たときの瞬間をとらえたもの。作品上映にあたってはビズリーチが協賛。また株式会社NIONの守屋貴行が企画制作を担当している。
都内各所で展開されるソフィ・カルの様々な作品群。一度にこれほどの規模で見ることができる機会はなかなかないだろう。