2018.10.31

ザイ・クーニンやスゥ・ドーホー、宇治野宗輝も。次回の金沢21世紀美術館コレクション展は「アジアの風景」

金沢21世紀美術館で、アジアの作家による作品を集めたコレクション展「アジアの風景」が開催される。本展では、「人間はどこに向かって行くのか」という普遍的な問いを投げかける作品を紹介。会期は11月3日〜2019年5月6日。

スゥ・ドーホー 家の中の家 ― 1/11スケール ― 原型 2009 © Do Ho Suh

Photo by Taegsu Jeon courtesy of the artist and Lehmann Maupin Gallery, New York and Hong Kong

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 「人間はどこに向かって行くのか」。この普遍的な問いを投げかける作品を集めたコレクション展「アジアの風景」が、金沢21世紀美術館で開催される。

 アジアにおける様々な表現は、その土地の歴史や文化と結びつきながら、伝統とグローバル化のあいだで揺れ動いている。本展では、その渦中でアジアに拠点を置きながら変容する社会を見続け、世界を照射する作品をセレクトして紹介する。

 会期前半は、スゥ・ドーホーの《家の中の家ー1/11スケールー原型》(展示期間:11月3日ー 12月24日)を展示する。過去に自分が住んだ家を、原寸大で再現した布の彫刻で知られるスゥ。今回展示されるのは、自身がアメリカに留学した1/11スケールの家のなかに、幼少期に韓国で過ごした家の間取りが埋め込まれている作品だ。  

ザイ・クーニン ダプンタ・ヒャン:知識の伝播 2016-17
The Singapore Pavilion, 57th International Art Exhibition ‒ La Biennale di Venezia (2017) 展示参考画像
Courtesy of the artist and Ota Fine Arts, Shanghai / Singapore / Tokyo

 また、シンガポール出身のザイ・クーニンは、初代のマレー王に関する研究と制作から成るプロジェクトの集大成を展示する。このプロジェクトは、マレー族がイスラム化する前の文化を明らかにするとともに、マレーに出自を持つ作家自身のアイデンティティの探索であるとも言える。

照屋勇賢 遥か遠くからの未来より 2015 ©yuken teruya Photo by KIOKU Keizo

 そのほかにも、自動車や家電を用いたサウンド・スカルプチャー《プライウッド新地》で動く都市をつくる宇治野宗輝、伝統的な琉球着にジュゴンや軍事用ドローン、沖縄の人々といったモチーフを染めあげた《遥か遠くからの未来より》を提示する照屋勇賢などが参加。

 本展では上記4名の作家に加え、時期をずらしてチェン・ウェイ(展示期間:12月26日ー 2019年 3月10日)、小西紀行(展示期間:2019年 3月12日ー5月6日 ※予定)および笹本晃、ジュン・グエン=ハツシバの作品が展示される。 

ジュン・グエン=ハツシバ メモリアル・プロジェクト ナ・トラン、ヴェトナム: 複雑さへ―勇気ある者、好奇心のある者、そして 臆病者のために 2001 © JUN NGUYEN-HATSUSHIBA
Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery Commissioned by Yokohama Triennale 2001

 なお、小特集展示として「粟津潔、マクリヒロゲル5 粟津潔のブック・イラストレーション」が同時開催。同展はグラフィック・デザイナー、粟津潔の調査展示を行う「マクリヒロゲル」のシリーズ最終回として、本の挿絵と子どもに向けたイラストレーションにスポットを当てる内容となっている。