画家 ヘレン・フランケンサーラーの、もうひとつの側面。みずみずしい色彩を実現した版画作品にフォーカス

アメリカ現代美術に大きな足跡を残したヘレン・フランケンサーラー(1928〜2011)の版画作品に注目した展覧会「ヘレン・フランケンサーラー[エクスペリメンタル・インプレッション]」が、福島県のCCGA 現代グラフィックアートセンターで開催される。会期は9月15日〜12月23日。

本展ポスター

 アメリカ抽象絵画を代表する画家のひとりとして知られるヘレン・フランケンサーラー(1928〜2011)は、滲み止めを施さないキャンバスに薄く溶いた絵具を注いで染みこませる「ステイニング」という技法を用いた絵画で注目を集めた。

 1960年代初頭には初めてリトグラフに着手。以後、銅版画、木版画、シルクスクリーン、モノタイプといった様々な種類の版画制作に励み、77年にはアメリカ現代版画を代表するタイラーグラフィックス版画工房との共同制作をスタート。同工房の高い技術力を背景に革新的な作品が数多く発表された。

 フランケンサーラーは様々な技法を駆使し、繊細さと大胆さを併せ持った造形やみずみずしい色彩を実現した作風で、版画においても高い評価を獲得。即興的な色彩の広がりを持つ絵画作品と並んで、版画はフランケンサーラーにとって重要な表現媒体となった。

 今回、福島県のCCGA 現代グラフィックアートセンターで開催される「ヘレン・フランケンサーラー[エクスペリメンタル・インプレッション]」展は、フランケンサーラーの版画作品を紹介するもの。同館所蔵のタイラーグラフィックス・アーカイブコレクションの中から、70年代から2000年代までのフランケンサーラーと同工房の共同制作による版画作品を堪能することができる。

 「エクスペリメンタル・インプレッション」(=実験的な刷り)という展覧会タイトルの通り、つねに平面表現の新たな地平を切り開いてきたフランケンサーラー。既存の概念にとらわれない発想で展開される作品世界に広い視野を得たい。

編集部

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