記憶表象や想像力を喚起する
「装置」としての作品。
北川健次の個展がCCGAで開催

銅版画、オブジェ、コラージュなど様々な手法を横断し、創作してきた北川健次。その原点である銅版画と近年の活動の中心であるオブジェを展示する個展が、福島県・須賀川市のCCGA現代グラフィックアートセンターにて開催される。会期は2018年6月16日〜9月9日。

北川健次 肖像考——Face of Rimbaud(版画集〈反対称/鏡/蝶番——夢の通路 Véro-Dodatを通り抜ける試み〉より) 2004

 北川健次は1952年福井県生まれの銅版画家。70年に多摩美術大学絵画科油絵専攻に入学。在学中に独学で銅版画制作を始め、その後版画専攻に移る。80年代後半よりオブジェ作品の制作を開始し、90年には文化庁派遣芸術家財外研修員として渡欧。そして2000年代後半からは、写真作品の発表を開始する。08年、アルチュール・ランボーを主題としたアルチュール・ランボーミュージアムでの展覧会に、ピカソ、ミロ、ジャコメッティ、ジム・ダインらとともに日本人作家として唯一選出されるなど、国際的にも高い評価を得ている。

北川健次 F・カフカ高等学校初学年時代 1987

 そんな北川の展覧会が、福島県・須賀川市のCCGA現代グラフィックアートセンターで開催される。写真製版によるエッチング(フォトグラビュール)を主な技法として用いて、独特の緊張感や高い精神性をまとっている北川の作品。作家の詩的想像力と銅板の無機質さとのせめぎあいの中から生みだされる硬質な画面は、駒井哲郎や棟方志功、池田満寿夫といった日本を代表する版画家たちからも称賛された。

 北川は版画、コラージュ、オブジェ、写真の他に詩、評論なども手がけ、多面的に活動の幅を広げてきた。その創作に共通しているのは、観者の内面に働きかけて記憶表象や想像力を喚起する「装置」として作品をとらえるという思想だという。

北川健次 DiaryⅠ 1974

 今回の個展では、北川の原点である銅版画を中心に、近年の表現の中心であるオブジェを加えた代表作を展示。人間の内面に潜むイメージを呼び起こし、想像力をかき立てるような北川の作品世界を体感したい。

編集部

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