KADOKAWAと東京都墨田区による共同主催事業「Edo⇄2018 すみだ川再発見! ふねと水辺のアートプロジェクト」が、9月2日のキックオフ企画を皮切りにスタートする。本プロジェクトは、国内外で活躍するアーティストの鈴木康広、西野達、野口一将の3名とともに、隅田川の水辺空間を舞台とした現代アートを展開していくというもの。
江戸時代、生活や経済を支える物流の基盤として、そして葛飾北斎などの文化人が芸術文化を生み出す場としても人々の暮らしに寄り添ってきた隅田川。浮世絵にも多く描かれた江戸の名所である「水辺」と現代アートのコラボレーションは、地域活性化と同時に、芸術価値を再考する機会にもなるだろう。
本プロジェクトで鈴木は、水面に波紋を描きながら進む「船」をモチーフとして扱った作品《ファスナーの船》を発表。武蔵国/下総国を隔てる国境であった隅田川の歴史に着想を受け、隅田川の新たな可能性を拓くことを試みたという本作に注目が集まる。
東京とベルリンを拠点とする西野の作品は、パブリックなものをプライベートなものへと変容させ、鑑賞者の日常的な観念を壊す手法を特徴としている。今回は、隅田川と親しみ、遊ぶことを通じて、新たな視点をもたらす仕掛けをプロデュース。人々とともに、江戸から今日にわたって姿を変えてきた水辺の魅力を再発見するアートスペースを設けるという。
加えて、江戸時代に遊山船(屋形船)の間を漕ぎまわって飲食物を売っていた小船「うろうろ船」が、本プロジェクトによって現代の隅田川に復活する。この「うろうろ船」を手がけるのは、建築家のみならずアーティストとしても活動を行っている野口だ。本作の回遊中に販売される、地元で人気の社会福祉法人「墨田さんさん会」による手作りクッキーもあわせて楽しみたい。