2010年の創設以来、定期的に開催されているエルメス財団のアーティスト・レジデンシー。本プログラムは、世代を超えて伝承される技を持つ職人と創造性豊かな現代アーティストが出会い、共有と協働を行うことを狙うもの。
昨年開催されたパリのパレ・ド・トーキョーでの展覧会に続く、東京の銀座メゾンエルメス フォーラムでの「眠らない手」展は、2014年から17年にかけて本プログラムに参加した9名のアーティストの作品をピックアップして紹介する。
展覧会タイトルの「眠らない手」とは、熟練の技や意思が込められた職人の動きや仕草に由来している。多様な道具を用いて、つねに高い緊張感や集中力を要する職人たちと、素材を「為すに任せる」大胆さで扱うことで自由な造形やプロセスを誘い出すアーティストたちの、それぞれの「手」に秘められた強いメッセージを紐解くことがテーマだ。
本展では、プログラム期間中に、シルク、皮革、銀、クリスタルといった、エルメスが誇る最高峰の素材を使用して制作された作品のほか、各作家の過去作もあわせて展示される。若きアーティストたちの想像力と、精巧な職人技との出会いをより多角的に体感することができるだろう。