「彼女と。」は、エルメスが提案する現代的女性像の考察をテーマにした、観客参加型の展覧会。
物語はひとりの「作家」がある女性(「彼女」)の存在を追いかけることから始まる。鑑賞者はこの「作家」とともに会場内をめぐり、「彼女」の姿を追い求めていくいうもの。
国立新美術館の広大な会場に入ると、そこはまるで映画館。受付でパスをもらった後は約40席の映画館へと誘われ、そこであるショートムービーを見ることから本展は始まる。
映画を観た後に出会うのは、そこが美術館であることを忘れさせる7つの映画セット(ステージ)。精緻につくりこまれたそれぞれのセットでは映画の一場面となる演技が繰り広げられる。このセットを順に追うことで、鑑賞者は「彼女」の存在にじょじょに近づいていくという仕掛けだ。
この映画セットに加え、「舞台裏」も本展の大きな見どころのひとつ。セットとセットの間には、照明やモニターなどの機材と並んで小道具や家具、衣装などが置かれているが、これらはすべてエルメスのもの。一つひとつのプロダトが舞台裏さえも贅沢な空間に変容させている。
まるで映画づくりにエキストラで参加しているような鑑賞体験ができる「彼女と。」。エルメスが提示する魅惑の映画世界をぜひ楽しんでほしい。
なお、本展の入場は予約制。興味のある人は早めのチェックをお勧めする。